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Like A Broken Mirror  作者: 勾田翔
再会
11/51

◆(某日――時刻不定)

 二章開始。長いです。

  再 会


   ◆(某日――時刻不定)


 都市部からは、少しだけ離れた郊外の民家の裏。

 漆喰の壁や置き石、地面などに真っ赤な液体が飛び散っていた。近くからは、野太い男の人の怒声が絶え間なく響いてくる。

 中年の男の人だった。顔には皺が入り始め、皮膚はちょっとたるんできている。明確な怒りを携えた表情をした彼は息を乱しながら、左腕で額の汗を拭った。

 彼の見据える先――より正確には、彼の足許。

 そこに私はいた。

 月明かりに私の姿が照らし出される。服は身につけていない。うつ伏せに倒れた私の背中や腕、脚には無数の生々しい傷があった。

 また、その傷が増える。

 男の人のつま先が、私の腹部を蹴り上げた。

 身体がひっくり返され、髪が振り乱れる。

 身体を、くの字に折り曲げ、むせかえる。開かれた口から血が噴き出した。それでも彼は、一切、構う事なく私へ度を逸した暴力を加え続けた。

 ――無限とも思える時間が経った頃、不意に彼の動きが止まった。

 彼の足許に転がる私は、もう糸の切れた人形も同然だった。手足は放り出され、指や肘、膝などの関節が不自然な向きに曲がっている。

 全身には数えきれないほどの切り傷や擦り傷、そして青痣が広がっていた。

 もう意識が朦朧としてきていた。左眼はまぶたを開く事ができないほど、腫れ上がり、流し続けていた涙はすでに枯れ果てている。

 口からは、もう、ほんの僅かな呻き声だって出てこない。

 彼は鼻を鳴らし、私を勢いよく蹴り飛ばす。身体が硬い地面を転がり、薄く血が引き伸ばされる。

 彼は近くにあった、漬け物石ほどの大きさの、置き石を手に取った。

 そして、両手で持ったそれを真上に振りかざす。

 血走った目で私を一瞥し、僅かにでもためらう事なく、それを振り下ろす。

「――この、化け物が」

 肉と骨を砕く音が、暗闇に鳴り渡った。

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