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Like A Broken Mirror  作者: 勾田翔
始動
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9(二月七日――午前三時七分~午前三時一〇分)


   9(二月七日――午前三時七分~午前三時一〇分)


 右手を見下ろし、ゆっくりと力を込める。人工皮膚が巻きつけられた義手の指は、耳を澄まさねば聞こえないほどのモーター音を鳴らせながら、開閉する。

 左手で、義手の手の平に触れる。そこには、分厚い服の上から皮膚を撫でた時のような、ほんの微かなものではあったが、確かな『感触』があった。

 人工神経。

 そう、年配の医師は言っていた。直接、神経に接続する事で、疑似的な触覚を再現するのだそうだ。訓練すれば自分の腕のように操作できるようになるらしい。

 左眼に着けていた眼帯を外す。空洞だった場所には、外見だけは本物そっくりに仕上げられた義眼が納まっている。

 久郷は手許にあったサングラスをかけると、ワインレッドのジャケットを羽織り、席を立った。年配の医師に指示された裏口から病院を出る。

 ゆったりとした足取りで、夜道を歩きながら、久郷はまだ暗い空を見上げた。

「――これは『仕事』とは別。ただの自己満足――『雪辱戦』だ」

 これで第一章『始動』は終わりです。

 よろしければこのあとも、どうぞお付き合いくださいm(_ _)m

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