序章ノ壱
厨二病時代に設定だけ考えて放置していた小説(?)です。
完結させて厨二病を卒業する予定なので生暖かい目でこの作品の進路を見守っていただければと思います。
とある町があった。
そこはごく普通の町だった。
大人たちの溜息や、子どもたちの笑い声が満ちている、どこにでもある町だった。
今、その町には人がいない。
正確には、いなくなった。
いや、人でなくなったと言ったほうがいいだろうか。
溜息は肉片に、笑い声は大量の血液へと姿を変え、満ちている。
肉片と血の海で、この町は満ちている。
姿を変えたその町に、大と小の二つの影があった。
人ではない。
事実、この町からは笑い声が消えている。
では何か?
ただ、その二つの影がこの町の姿を変えたことしか分からない。
――大きい影は大鎌を右手に、肉片の上で笑い、
「アーハッハ、町一つ巻き込んでその結果がコレかよ」
――小さい影は素手で、血の海の中で佇み、
「・・・」
「どうしたァ?そんなモンか?そんなモンでこの俺に楯突こうとしたのかァ?あ?」
大鎌を弄びながら笑う影。
――どうしてか、
「あン?さっきまでの威勢はドウしたよォ?」
――どうしてか、黙ったままで、
「もしかして、コワれちまったのかァ?」
そして、
――そして、
「傑作だなァ!」
影は笑い声を大きく上げながら、
――変化が、
「たったアレだけでイカれちまうなんざ、どんなナカミしてんだよォ!」
影は大鎌を振り上げ、
――たった一言だけの変化が、
「コワれちまってんなら、さっさと死んじまいなァ!」
振り下ろした瞬間、
――訪れる。
「展開セヨ我ガ武装 -extract-」
そして、そして人の亡い町に、
影は一つになった。