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夢と幻のキネマ館  作者: 黒木 静
『白と黒のメリー』
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3.ヨコハマ



3.ヨコハマ



 二人が目指しているのは横浜である。

 すでに変化してしまった日本全土。マップを持っているものの、恐らくこれは、あてにならないだろうことが、すでに海の上から理解できた。

 横浜は神奈川県にある。神奈川に隣接する県が目的地となる東京。

 直接東京につなげられればいい話だが、そうはうまくいかないらしい。メリーが言うには東京が“中心”となっているという。つまり、東京にアブホースが居る。接近すれば何らかのアクションが襲いかかる可能性がある。

 地上で生きてきたロバートは海上で戦う術を心得ていない。メリーも意味不明なほど強いが、海上でそれを強いられては敗北を喫することは間違いない。

周りは汚泥。高度経済成長という過去の記憶にあるヘドロのような物質。全国で行われた環境改善計画は失敗に終わり、どの大国からも大量のエネルギーが消費されて――その間に〈原初堕神〉――結果、エネルギーを消費した、しないなどは些事な問題になってしまっていた。

 これは“そういうもの”では無いだろうが、海洋でもないだろう。

 二人の意見は一致している。だから、まずは横浜に行くという決定である。


 静かに大陸が顔を出す。邪悪な気配を満たした日本。栄華の高層建築は、マントに覆われたように暗黒色で、富士の山麓は煌々と赤く滾っている。海洋の緑色と積乱雲の暗幕がさらに日本を覆い隠し、暗渠と化した全土。

 怖いほどに恐怖に満ちた空間。常人がそれを目視しただけで発狂死しかねない、圧倒的な死の光景。不快感を煽る極彩色。色の感覚はもはやかき乱されどんなプリズムでも表すことのできないような虹彩が光の梯を作って待っている。

 二人の勇者が、大陸へと上陸する。

 はたまた、二人の愚かな仔羊……生贄として捧げられし仔羊となるのか……。


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