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07 理解者の存在はありがたいものです


「何を言うのだっ!!」

あたしの“嫁にはやらん”発言に反応したのは、勿論ふぅちゃんを嫁に欲しい狼陛下。

「黙って見ていれば姫とイチャイチャうら……いや、不埒な真似をしおって―――」


 ふふん、本音が漏れかけたねぇ。

 まだまだ青い青い。

 

 いい加減、堪忍袋の尾が切れたらしい狼陛下だったが。


 コンコン。

「どうぞ~」

 ノックの音とそれに応えるあたしの声に勢いを削がれた挙句。

「陛下、そろそろ将軍たちとの会議のお時間でございます」

 狸宰相に問答無用で連れて行かれてしまった(←宰相閣下直々のお迎えについて、特につっこみは無い)。


 ………よし、時間ぴったり。

 狼陛下をからかうのはあたしのささやかなストレス発散だが、視線に本気で殺意を覚える今日この頃。相手の自制心の糸が切れる前に終了させるのが重要なポイント(←ここマジ重要!)。ま、職場で気分屋の課長の相手を伊達にはしてないってことさね。

 しかし……。


「侍従ドノはご一緒に行かなくて良いんですか?」

 主が消えた後、いつの間にかちゃっかりその後に座って、手つかずで残っていたお茶を優雅に啜る狐侍従。

「えぇ、父が付いていますので何も問題はありません」

 にっこり微笑むお姿はなかなかに優美で、こっちとしては目の保養ではあるが……はて?

「御父上?」どちらサマ?

「ええ、宰相は私の実の父ですので」


 ………は?

 ……………………いや、まぁ、種族が異なるカップルから生まれる子供はどっちかになるって話ですから? 母親が狐だったら、たとえ父親が狸でも狐の息子が生まれるんでしょうケド?

 目の前にその現実の産物が付きつけられるとまたなんとも……

 っつーか、狐と狸のカップルって……“恋の駆け引き”がそのまま“化かし合い”なんじゃないかい?


 ――とは大人なあたしは口にせず、せっかくなので。

「陛下はさて置き、他の方々はこの子があたしにベッタリなのは構わないんです?」

 気になっていたことを聞いてみた。


「ええ、構いません」

 おお、きっぱり。

「勿論、今のところは、ですが」

 ですよねー。

 ま、そうじゃなきゃ、あたしの方があちらさんたちの本気を疑うトコですよ。


「フーカ様はまだ幼くていらっしゃいますので。陛下に嫁いでいただけるようになるまで、あと半年はかかるでしょう」


 獣人たちは獣の姿で生まれ、2、3ヵ月経ってから人化をするようになる。最初の人化後は1ヵ月で人間の1歳分ずつくらいの速さで成長し、獣としての能力と人としての生活を学び鍛えながら、およそ20ヵ月で“成人”し、一旦肉体の老化が止まる。それから15~20年ほど(←種族差及び個体差アリ)の“青年期”の後、15~20年ゆっくりと老化が進む“壮年期”を経てから、急激に老化が進む“老年期”を迎えて死ぬ。

 ――これが、犬狼国の民たちの一般的な“人生”と聞いている。青年期の間に結婚、出産をするのが一般的らしいが、特に法律で決まっているというわけではなく、体の成長状況によっては16~18ヵ月で“成人”し、結婚するケースもままあるとのこと。


 それからすると、確かに11ヵ月――あと一週間ほどで12ヵ月だが――のふぅちゃんは、まだ子供である。

 ……いやぁ、それは聞いてたんだけどね? あの狼陛下のアタックぶりを見てると、ホントに大丈夫かいね?って不安になるんだよ。


「何より、その御歳になられるまで“人化”してらっしゃいませんでしたから、“学習”の始まりの遅さから言っても、実際の御年よりさらに幼いと見るべきでしょう」


 なんせずっとワンコだったふぅちゃん(←いや、それが普通っちゃ普通だったんだけどさ)。

 まず獣⇔人の変身がスムーズにできず、今現在人化する時はペンダントとして身に着けている“聖石”の力を借りている。そして、人化している時でもちょっと興奮すると、すぐ四つん這いになろうとする(お願いだからその姿ではやめとくれ)。

 こっちに来て“聖水”による人化がスタートだとすれば、11ヵ月と言いながら実際はまだ3、4ヵ月程度(あるいはもっと下かも)とも言えるのだ。物言いが幼いのも当然である。


「カナ様(←あたしのこと)が私たちのことに関心を持ちフーカ様を導いてくださろうとしていることに、我ら家臣一同とても感謝しております」


 ヒト見知りするふぅちゃんだが、“親”(←ホントは姉のつもりだケド)であるあたしが関心を持つ対象に自分も興味を示し、あたしの行動を見習おうとする。

 それを利用して、ふぅちゃんがこの世界での生活を学んでくれれば、と思っているのだ。

 

 うん、分かってくれているヒトがいてホッとしましたよ。


 ……そう和んでいると。

「おねーちゃんはふぅちゃんの!」

 今度は狐侍従を牽制するふぅちゃん。

 かーいくて嬉しいけど、先々を考えると道の遠さを感じるねぇ(←遠い目)。


 そして狐侍従。

「フーカ様が必要とされる間は、カナ様はずっとお側にいらっしゃいますよ」

 にっこり笑って懐柔を忘れない、オトナな対応はさすがだ。



 短期集中を掲げせっかくいい調子で投稿できていたのに、急な残業と人身事故によるダイヤの乱れで帰宅が遅くなり、帰ってご飯食べたらバタンキューでした。(orz

 今日も今日とて約束があって外出でしたし……。


 あと少し(の予定)ですので、気を取り直して頑張りたいと思います。



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