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04 異種族カップルの事情を教えてもらいました


 時間が少し飛びます。

 世界設定はかなり適当(別名:いい加減)です。




「姫…」

「や」



 皆さま、お久しぶりです。飼い犬と一緒にトリップした人間の橘奏です。

 こっちに来てから早いもので半月がたちました(元の世界ではどんだけ経ってんだろね?)



「そう仰らずに…」

「や」



 ここに来たあの日、別室に移って聞いたこと(説明者は狸宰相と狐侍従)。

 ここが犬狼国(けんろうこく)という、大陸で比較的北に位置する国であり、あたしたちは国王(←狼陛下のこと)の成人のお祝いの席のまっただ中に宙から湧いて出たらしい。ちなみに、この大陸では祖神(おやがみ)(←祖先のことだろうと思う)を同じくする一族がまとまって国を作っており、名前から分かるようにこの国は犬科(←あたしの理解で言えば)の人種(?)の国とのこと。……話のついでに猫科の国があるのか聞いてみたら、獅虎国(しとらこく)というのがそれに当たるとのこと――まぁ、猫じゃ強くなさそうだもんね。



「姫はこちらがお好きと伺いました」

「う~」



 で、うちのふぅちゃんがえらい歓迎された理由ってのがあって。

 狼陛下ってばご伴侶を迎えるお年頃だったんだけと、お嫁さん候補がいなかったらしい。――いや、女性が極端に少ないとか、狼陛下がここの基準ですっごいブサイクとかじゃなくて。

 なんか、この国の皆さんってば、月を信仰の対象としてて、んでもって身に纏う色が加護を表すっていう考え方から、王になれるのは月の色――最高位が二つの月が重なった白銀、次が青銀と白――を持つ者(←大抵が狼とか犬とか戦闘力の強い者に現れるらしい)なんだって。

 それで言うと今の狼陛下はぶっちぎり最高の白銀の髪の持ち主で、力も歴代でトップクラス。そんな彼の花嫁として、白銀は無理にしても青銀か白を持つ適齢期の女性を捜したらしいのだが、ま~これが見事にゼロ。

 他国からも探してみたのか聞いてみたけれど、祖神おやがみを異にする者同士の婚姻では出生率が極端に落ちるらしい。あ、ちなみに種族が異なる者同士の結婚で生まれた子供は、親のどちらかの種族になるっても言われた。ライオンとトラのカップルでライガーが生まれるということはないらしい(ちょい残念)。



 ぷいっ。

「くっ…!」



 半月前の例のお祝いの席でも、

「このめでたい日に神々が陛下への花嫁でも遣わしてくれれば」

なんて冗談半分本気8割(←合計がおかしいのは気にしない)で話していたところに、どこもかしこも真っ白な体毛のふぅちゃんが出てきたもんだから、「こりゃもう陛下の嫁に違いな~い!」って思っちゃったらしいんだわ。


 ……うん、そんな事情があったんなら皆様そう思うのしょうがないさね。ましてやその大切な“嫁様”に首輪だの鎖だのつけてたんだから、あたしが敵認定されたのだって、まぁ納得。

 最終的に、あたしがふぅちゃんの保護者だってことを理解してもらい――ふぅちゃんがあたしから離れたがらなかったもんで――、ふぅちゃん用に急遽準備された部屋(寝室の他に居間と簡易調理スペースとサニタリー設備付き)に一緒に寝起きしている。(←狼皇帝陛下は不満たらたらのようだが。)

 そんでもって、今はその居間(←応接室も兼ねてます)なのだが。



「おねーちゃん、ごはんまだ?」

「姫はなぜその女ばかりっ!」



 国王としての政務の合間にふぅちゃんのご機嫌伺いに来ては、こうして振られ続けている狼陛下に睨まれております――なんか殺意こもってんじゃないかい?


 ………橘奏、生まれて初めて狼に睨まれた羊の気分を味わっております。




 視覚的には現在の狼陛下の求愛はロ●コンのようだとフト思いましたが、(ただでさえ相手にしてもらえてないのに)不憫なのでそういう属性は付いてないということでお願いします(笑)



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