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プロローグ
「すみませんが、僕より年上の方はちょっと……」
パキ、とティーカップの持ち手が割れた瞬間、テーブルの向かいに座っていた男は「ひぃっ」と情けのない声を上げ、椅子から転がり落ちた。気づいた時には、店を飛び出していたそいつを追いかける気にもなれず、深い息を吐く。
「……年上って、一つだけだろ。女々しいこと言いやがって」
唸るようにそう呟いて、ティーカップの紅茶を一気に飲み干した。周囲の視線が集まっているが、気にするものか。
「勇者様、またお見合いなのね」
「先日も確か、侯爵家のご次男とお見合いされていたような……。上手くいかなかったのね」
「なんてこと……。救世の勇者が、まさか――」
……もう、うんざりだ。魔物の群れと戦っている方が、余程マジだ。こんな――。
「――結婚相手に困ることになるだなんて」
こんな――クソ男ばかりと、お見合いするくらいなら!




