1/4
第零話:開扉 - 深き嘉きものに触れし者へ -
はじまりは、誰にも知られていない。
星は声を持たず、神もまた言葉を与えなかった頃、 世界はただ“在る”ことの意味を問われていた。
焦がれる祈り、刻まれる傷、燃ゆる信。 ひとつひとつが名を持ち得ぬまま、 それでも理を生み、血脈をつなぎ、記録となってゆく。
誰も語らなかった“深き嘉きもの”たち。 声なき歴史の綴れ織り。 それらを拾い集め、繋ぎ合わせるために、 今、封ぜられた頁が、開かれる。
――これは、語られなかった星の記録。 誰かが書き、誰にも読まれなかった物語。
あなたがいま、触れているものこそ、 断たれし記憶の続き、 世界の“もう一つの綴り”である。
深嘉断章
封印を解き、記録を綴れ。 この星が、嘉きものとして在るために。