表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Devinette  作者: 水無月
7/20

第四話・バレンタイン《問題編》

 街中がバレンタインにそまる2月。

 女の子からチョコレートをあげるイベントだが、チョコレート好きとしてはもらう側のイベントの方がよかったと思う、

 私、たちばな 愛良あいら

 幼馴染の横溝よこみぞ たくみと出かけるたびに、『何物欲しそうな顔してるの?』と意地悪く言われる始末だ。

 普段売っていないようなメーカーの美味しそうなチョコがあるのをみて、食べたくないわけがない…。

 しかも、あげたい相手の匠は売っているチョコに興味はない。

 食べないものを貰ってもしょうがないと言って、買ってきたチョコだと受け取らないのだ。

 そんなわけで、毎年苦手にもかかわらず手作りのチョコレートを作る。

 買ってくれば、美味しいチョコを一緒に食べれるのにと思いつつ……。



 そんなこんなで、バレンタイン当日の放課後。

 私は手紙を一通持って、匠のいる教室へ向かっていた。

 チョコレートはある場所に隠してある。

 毎年の儀式のようにただ渡すのじゃ、面白くない。

 暗号…とういより、今回はクイズに気持ちを込めつつ、正解の場所にチョコレートを置いてきたのだ。


††††††††††††††††††††††††††††††


 チョコレートのある場所を探してね!


① 図書室のミステリー小説の棚の上

② 匠の下駄箱の上

③ 音楽室のピアノの中


 私の気持ちが一番こもっている場所にあるよ!


††††††††††††††††††††††††††††††


 きっと匠なら、隠し場所も、暗号にこめた想いも気づいてくれるはず…。

 そう思って、匠のクラスを覗く。

「え……」

 信じられない光景に、思わず固まった。

 匠の周りに大勢の女子。

「はい。横溝くん、チョコレート」

「あ、あたしも持ってきたよ」

 代わる代わるに綺麗に包装された、どう見てもお店で買ったチョコレートを渡す女子達。

 そして……

「どうも」

 それを僅かな笑みを浮かべて受け取る匠。

 だ…誰からも受け取らないって言ってたのに……。

 呆然と立ち尽くす。

 なんだかショックだった。

 居た堪れなくなって思わず走ってその場を去る。

 校門まで走っていったところで、手にしていた手紙がない事に気づいた。

 でも、今更とりに戻るのもなんだか恥かしい。

 しばらく、悩む。

 とりあえず、チョコレートだけでも回収しようと思いつき、隠し場所に向かったがそこには既にチョコレートはなかった。

 直接渡すつもりだったから、宛名のない手紙…。

 匠がチョコレートを持っていったはずはない。

 きっと、何かがおいてあると気づいた人が……。

 果てしなく落ち込みながら、私は一人とぼとぼと学校を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ