第三話・クリスマスイヴ《問題編》
このお話は暗号に画像を使用しておりますので、挿絵をONにしてお読みください
今日はクリスマスイヴ。
私、橘 愛良は父の経営する探偵事務所で、幼馴染の横溝 匠が来るのをこっそりと待っていた。
匠は寒いのと人ごみがどっちかというと嫌いだ。
去年のクリスマスイヴはそれを理由に外出を断られ、暇だったこの探偵事務所でささやかなパーティーをしただけ…。
今年こそは匠を外に連れ出してやる!!と、私は匠の好物を用意していた。
つまり、暗号。
待ち合わせの場所と時間を暗号にして置いておけば、きっとその場所に来てくれるはず…と、数週間前から頭を捻って暗号を考えたのだ。
これを、いつも匠が勝手にくつろいでいる事務所の応接室に置いておいてある。
ヒントは私の名前だけど、匠の事だからきっとそんなの無くても簡単に解いてしまうだろう。
携帯の電源を切って待ち合わせの場所で待っていれば、きっと来てくれるはず…。
そう期待で胸を膨らませながら待っていると、匠が事務所の扉を開けて入ってきたので、私は家具の陰にひっそりと身を潜めた。
匠は室内を見回して私がいないことを確認すると、推理小説を片手に応接室に入っていった。
匠が私のおいた暗号の紙を手に取ったのを確認してから、私はこっそりと事務所を出た。
後は、暗号の場所で匠を待つだけ。
早く待ち合わせの時間になるのを楽しみに思いながら、私は走って家まで戻っていった。