第一話・お花見《解答編》
「こーゆーのは、法則を見つけるのよね?」
匠が再び小説に目を通しながら、私の独り言にうなずいてみせる。
「共通点は…2文字なら2文字、3文字なら3文字って事?」
再びうなずく匠。
「で、赤坂は赤坂なんでしょ?これは変わんない」
うーむ。
「うにが犬で秋がイカでいくらが歩き?」
んーーーーーーー???
頭を悩ませていると、突然私の携帯がなった。友達からのメール。すぐにメールを打ち返していてふと気付く。
「アルファベット…?」
そうつぶやくと、匠は微笑んだ。
そういえば前に匠が暗号について薀蓄を色々述べていてときに、言っていた気がする。
ひらがなやローマ字に文を書き換えてみると見えてくるものもあるって。
私はメモ用紙を持ってきて、問題をローマ字で書いてみる。
「えっと、
UNIがINUで、AKIがIKA、IKURAがARUKI。AKASAKAがAKASAKA…。
あっ!!」
答えが見えたーー!!
「匠!わかった!!ローマ字で書いて反対から読むんだ!!!」
「正解。では、『アリア』は?」
匠は小説を閉じ、意味ありげに笑いながら私を見る。
私は再びメモ用紙に書く。
『ARIA』を逆にすると『AIRA』。
AIRAって愛良?私の事??
そして、先ほど匠が最後に出したヒントを思い出す。
《答えは俺の好きなものだよ》
「……!!!」
かぁっと赤くなる私を見て、匠はたまらずに笑い出す。
「愛良っておもしれぇ…」
「ちょっ…よくもからかってくれたわね!!!」
「せっかくの読書の時間を中断するんだからね、楽しませていただかないと」
「なっ…」
怒ろうとする私を尻目に、匠はさっさと扉に向かう。
「早く行かないと日が暮れるぜ。夜桜見物にはまだ寒い」
そう言って笑って手を差し伸べる匠を見て、私の怒りも霧散していく。
結局、最初から一緒に行ってくれる気だったんだよね。ちょっとひねくれてるだけでさ。
「じゃー、途中でおやつ買ってこー!」
「はいはい」
しょうがないなって顔をしながらいつも一緒にいてくれる匠。
私も暗号考えて《好きなものだよ》って言ってみようかな。




