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所謂ヴァンパイアの館にて 共通1
「入って入って~」
今作の主人公リリスは友人のマリエとともにボーイフレンドのルシルの家にやってきた。
彼の実家は近代には珍しく爵位制度のある国。
「友人か、よく参られた。歓迎するぞ」
「あれがお屋敷の当主……噂に違わぬ美形だわ、そう思わない?」
美形といいながら、マリエは顔より月間誌の吸血鬼特集を見ている。
彼女は留学生で例のごとくオカルトマニアだ。
「そんなにヴァンパイアが気になる?」
「そろそろ日本へ帰ることだし、土産話になるからよ」
この屋敷の主エルワイス・ラッシュワードはヴァンパイアの末裔という噂がある。
白い肌と鋭い牙、というのは皆が知る常識。
近年では類似する病気を持つ人がいることで、脚色したおとぎ話という説が濃厚。
ファンタジー満載の怪物はとうの昔に絶滅していることだろう。
……毎日といっていいほど語られて、こういう知識がついてしまった。
「こういうのは、いざってときに役立つのよ」
ほかの皆が知っていることを学ばなくていい。自分にしかできないことを極める。
これは協調を重んじる日本人らしくない教育だと思う。
「マリエの周りは特殊だったのかしら?」




