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世界の縮図  作者: 滝革患
1/14

王子と魔女と妖精と 共通1 


「魔王が復活するだって!?」


緑の髪をした少年は椅子から転げ落ちるほど飛び上がり、狼狽している。


「落ち着け、まだ決まったわけではない」


長い髭をたずさえ、どっしりと構えた老人がカッと目を見開く。

他にも数名の男女は椅子に腰かけ、静かに集会の主催である老人の沙汰を待つ。

彼らは森の番人たる妖精の重鎮、エルフと呼ばれる種族。


「それで、何か考えが?」


魔王の復活をただ手をこまねいて待つ、そんな選択肢は最初からない。


「封じるしかあるまい」


かつて魔王を封じた伝説の勇者はもういない。

なれば、残っているのは勇者の仲間であった魔女メリーヌの血を引く娘のみ。


「ウユ、早急にメリヤを呼ぶのじゃ」

「わかったよ長老!」


■■


「ジュノース殿下、ツェツェーリア様がお見えです」

「そうか、すぐに行くと伝えておいてくれ」


やれやれとため息をついて、本を閉じる。


「さて、湖にでもいくか」


読んでいた本を机において、茶の髪をした青年は窓から降りる。

湖は人気(ひとけ)がなく、一人になれる場所だ。

ジュノースは優秀な兄がいることから、どうでもいい扱いをされている第二王子。

婚姻もとくに意味なく、取り合えず娶らせようとした母から生まれて早々に決められた。


「まったく、ハエのような女だな」

「それ、アタシに行ってるの?」


口調のみならず化粧が濃くて目力のある女が彼に声をかける。

「失礼……そういうわけではないんだ。貴女がいるとは気が付かなくてすまない」


ジュノースは若い女性なら失神してしまうような、爽やかな微笑みを浮かべた。

王子と言わずとも、普通の相手ならこれで許され、その場が収まる。


「アタシがそこらの女みたいに簡単に許すと思ってる?

どういう状況でそんなことを言ったのか、説明してもらわないとね」


そこで初めて彼女の姿をまともに見るジュノースは、その恰好に驚いた。

濃いピンクの髪、尖り帽子と黒い露出の高い衣服。それは世に聞く魔女そのものだった。


「育ちのよさそうなボウヤね。魔女を見るのは初めてのようだけど

怖くて声も出ないのかしら?」














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