作戦会議
インクブとイザベラが要塞建設現場に帰ると、直ぐにマクマザーンとボーヴァンに王都での話をした。
「………と言う事で、ブロッケン領への進軍許可を貰って来た、王様の肝いりだ」
そう言って書簡をマクマザーンに渡すとマクマザーンは。
「取り敢えず、ブロッケン領の内情が知りたい、詳しい者を加えて会議だな」
そう、マクマザーンが言うとボーヴァンことグッドが。
「なら…打って付けの人材が居るから、連れて来るわ」
そう言うと出て行った。
「で?………何で呼ばれたかと思えば……」
そこには自称ブロッケン領で、一番不幸な少女
「ブロッケン領の案内をしろと?…」
オレンジ色の囚人服に赤毛の少女、ユリアナが居た。
「お前さん、ブロッケン領の出身だし、ブロッケン城も入ったことあるだろ?」
グッドがそう言うと、ユリアナが
「………入った事はある…税を納めるのに…」
するとマクマザーンが。
「よし!…腹を割って話そうじゃ無いか、お嬢さん」
そう言うと、城の情報とブロッケン領の案内を引き受けてくれるなら、捕虜の身分から開拓地領軍の偵察班として雇い、身分と日当を保証すると言い。
「一緒に居た守り役の老人も同じく雇おう」
マクマザーンがそう言うと。
「…やる!!」
食い気味にそう言った、続けて。
「………あっ…の…ドグサレ餓鬼ゃぁ!………絶対…ぶっ殺す…」
そう言って目が座ると。
「手前だきゃぁ、サッサと逃げ腐ってからにぃ…なっにがぁ…足留めしろやぁ…………」
そうして目の光が無い黒目で。
「………ぶっ殺す………ケツから槍を口まで刺してやる……………」
そう言ってから暗い目で笑い出した。
他の3人はドン引きである、マクマザーンでさえ。
「…お、おう…わかった、…よろしく頼む…」
そう言うのが、やっとだった。
改めて話を聞くと、城の周りは掘りは無いが、扉は木の頑丈な、左右に開く観音扉とその外側に、上から降ろす鉄の扉と、二重になっている様だった。
「女達は…もしも居としたら…地下室やと思う」
地下には牢屋があるらしい、それを聞いてからマクマザーンが。
「巨大投石機や巨大弓矢は?」
ユリアナは少し考え込むと。
「堀の上に、一機ずつとあと、予備もあったはず」
そう言うと、インクブが。
「…万が一でも、当たるとヤバイな………」
50口径機関銃がいるか?
そう言うインクブにグッドが。
「現行の開拓地の法律では、銃は手に持てる物まで、そうなっている」
そう言うと、同じ口径なら対物ライフルが限界だろう、そう言ってから。
「問題は撃った経験者が居ない事だな」
そう、対物ライフルはククアナ国でも使っている者は居なかった、50口径機関銃やRPG(ロケット砲)で事足りた為だ。
「経験者か………ひょっとするとだが………居るかしれん」
マクマザーンはそう言うと、アメリカ海兵隊の活動服を着ている女性が、建設現場に居ると言い。
「元、海兵隊なら経験者かもしれん」
そう言うと側の部下に命じて。
「対物ライフルの経験者なら連れて来てくれ」
そう言うと呼びに行かせた。しばらくすると部下は海兵隊の活動服を着た女性と肩に何やら荷物を掛けた、青い上下の作業服を着た、中年の小太りなオッサンを連れて来た。
マクマザーンは青い上下の作業服のオッサンに。
「アンタは確か…かば、とか言ったかな?」
そう言うと、対物ライフルの経験者を呼ぶように、そう言ったんだが。
マクマザーンがそう言うとかばが肩の荷物を降ろしながら
「ああ、経験者だから来たんだが?」
そう言うと緑色のキャンバス生地の鞄のジッパーを開けると。
「対物なら」
そこまで言ってからマクマザーンの方を見ると。
「ここにあるが?狙撃手が必要かい?」
そう言うその手には。
対物ライフルが握られていた。




