天使の里
インクブがこれまでの経緯を話すとロックが
「その保護された女の人達って、白人種で金髪じゃ無かったか?」
そう言うとインクブが眼を見張って
「何でわかった?」
そう言うとロックは少し考えてから
「帝国は元々は共和国って国だったんだよ」
帝国は80年前に共和国を支配する形で樹立されたロックがそう言うとインクブは隣のイザベラの方を見ると
「事実だ、共和国時代は王国とも共栄していたと聞く」
それを聞いてからロックが続きを話す
帝国は一言で言うと白人種絶対主義だ、そう言い
「亜人種は勿論、有色人種も捕まれば奴隷落ち、家柄も学歴も関係無しだ」
「白人種の男は軍人か役人そして」
ロックは少し躊躇ってから
「白人種の女性で金髪の人は隔離されて子供を産む専門の施設に入れられる」
天使の里
そう言われている場所に隔離されて白人種の男達の相手をして子供を産む
そこまで聞いた時にイザベラは顔をしかめて
「カール以上の変態か?しかも国ごととは」
そう言うとロックも
「確かに頭がおかしくなりそうな話しだなぁ」
そう言うと全ては白人種絶対主義の政策で
白人種で金髪、出来れば眼も青い方が良いらしい、そこまで聞いたインクブが
「……………おい!まさか攫われた女達って……………」
ロックがインクブの方を見て
「察しが良いな、そのまさかだよ」
元々共和国時代に人種の坩堝だった為に有色人種が多い為に白人種の女が少ないと話し
「代用品でエルフの肌の白い金髪を妾にしたりしてるんだよ」
その人達は上級奴隷と呼ばれているらしい
「王国で集めて帝国に出荷する、完璧に家畜扱いだな」
ロックがそう言うとイザベラが
「じゃあ帝国から逃げてきたブロッケン領の女性も」
ああ、ロックがそう言ってからイザベラの方を見て
「天使の里から脱走して来た人だ」
そう言うとロックが
「だからその人が会いたく無いって言ったら、………済まんが帰ってくれるか」
そう言うと2人の方を見た
しばらくしてから本人に聞いてくる
そう言ってロックが部屋を出ると、机に座っていた総支配人のナターシャが声を掛けて来た
「帝国でロックも捕まって奴隷にされてたんだよ」
そう言うと私達を助けて帝国で逃げ回っている時に、捕まって死にそうな目に遭って居た
そう言うと
「うちの旦那にあんまり負担はかけて欲しくは無いね」
それを聞いて2人が
「旦那ってあの旦那か?」
「亭主?主人?お前さんの旦那?」
そう言うとナターシャは笑いながら
「ああ、ウチの旦那様だよロックは」
それからいい男だろ?そう言ってはにかみながら頬を赤らめて言うと
「ウチの旦那様にあんまり迷惑かけないでね」
それを聞いてインクブは
「お、おう………」それしか言えなかった
しばらくしてからロックが1人の女性を連れて来た
白人種で金髪瞳の色はブルー
「済まんが名前は勘弁してくれ」
そう言うとロックは女性と2人でインクブ達と対面のソファに腰を下ろす
インクブが女性の方を見ると自己紹介をしてから
「あんた、ブロッケン領から帝国に送られたって本当かね?」
それを聞いて女性は頷いてから話をし出した
「私は元々はブロッケン領の百姓の娘なのですが、領主様から城に上がるように言われて」
城に上がってしばらくしてから、カール候に夜伽を命じられて何回か勤めを果たした後に突然、夜に馬車で移動させられた
「何日か馬車に揺られて着いた所は砂漠でした」
それからラクダに乗った隊商に連れられて帝国に連れて行かれたと
「着いたら病院で検査されてから妖精の里に連れて行かれました」
妖精の里では複数の男達の相手をさせられたと言い
「どれが当たるか解らないからだそうです」
それからしばらくしてから妊娠して出産、
子供は初乳の事もあり、しばらく一緒に暮らして居たが
「ある日子供を連れて行かれて」
泣き腫らした後に妖精の里の責任者に
「何日か経ったら次だ」
そう言われた時、脱走を決意したと言う
「産んでもまた取り上げられるなら、逃げよう………そう思ったんです」
通いで女達の世話をする下女の中に混ざって外に出てロック達と合流した
「下女達の中に協力者が居てね」
カツラと変えの服を持ち込んで脱出した
「同じ色と髪型のカツラを被って、服は二重に重ね着して、授乳室で着替えて皆で固まって囲む用にして外に出ました」
外で抵抗軍と合流してロック達と共に帝国の中を逃げる事になる
「抵抗軍?」
そうインクブが言うとナターシャが
「ああ、帝国グループの嬢は全員そうさね」
ナターシャは机の中から拳銃を取り出して机の上に置いた
ワルサーPPK 第二次世界大戦で旧ドイツ軍が使っていた拳銃
机の上に置いた拳銃のグリップには、鷲が脚の爪で丸い中に鉤十字が入っていた
「帝国ってのは略称でね」
ロックが立ち上がってその拳銃をソファセットのインクブ達の前に置いた
「正式名称は、新興第三帝国」
そしてインクブ達の方を見ながら
「かつての独裁者の亡霊達だよ」




