何にも無い、何にも無い、全く何にも無い〜
過疎村 トンネル工事現場
トンネル工事中に突然地震が発生すると現場監督が大声を出す
「一旦 皆んな出ろ 退避するぞ!」
そう言って皆を出してからしばらくすると揺れが収まって来た
中の様子を見てくるからそのまま待機と声を掛けてから中に入る
崩れた場所が無いか、確認しながら奥に進むと、突き当りで倒れた人を見つけた
若い金髪の外人の女の子が倒れていた
上を見ると穴が空いている
監督は女の子を揺さぶってから声を掛けるが返事が無い
外に出て作業員に担架を持って来てもらい
再度中に入ると女の子を外に出す
「熊先生に来てもらってくれ、駐在所に連絡する」
そう言って監督はスマホを取り出す
田園風景の中を見ながらパトカーが移動していた
「何にも無い 〜 何にも無い 全く何にも無い」
そう桜が歌うと隣で運転している同僚が
「何の歌なんです?」
そう聞いて来た
「私が子供の頃やってたアニメの曲」
そう言う婦警は桜 巡査長 この春から ここ過疎村の駐在所に移動して来た アラサー婦警
聞いた警官は今年入った新人の警官でアダ名はオタ 盆と正月はコミケがあるから休みますと 上司に報告するオタクな警官で桜とはコンビを組んでいる
過疎村の駐在所は所員9名で3人を三班
朝勤務、夜勤、休みを3日交換でローテーションしている
今は所長が電話番をして、桜とオタがパトカーで巡回をしていた
田舎だから事件は無いとかは都市伝説で
農協の倉庫には米泥棒は入る 民家に野生の熊や猪 鹿などが出て猟友会に撃たれるまで野次馬やマスコミの対応など 人が少ないからこそ忙しい
そんな時に無線でトンネル工事現場で事故があったらしいから向かってくれと連絡が入った
トンネル工事現場に着くと人だかりが出来ていた
パトカーを降りてそこに向かう
「すみません 通してください」
そう言いながら前に出ると担架の上に外国の少女が寝ており 熊先生が診察していた
熊先生はヒゲ面の老人で元々は都会の大学病院に勤めていたが 好きな狩猟と田舎暮らしを満喫する為に過疎村の診療所に来た変わり者ではあるが 老人の家に定期的診療に行ったり地元の猟友会に所属して害獣を狩ったり
して地元に溶け込み 熊先生と呼ばれて慕われている
「先生 どんな具合ですか?」
そう桜が聴くと熊先生は桜の方を見て
「駐在さんか、お疲れ様 」
そう言うと立ち上がって
「トンネルの上に穴が空いて落ちてきたらしい」
それを聞いて 桜が
「トンネルの上?」
そう言ってトンネルの方を向くとフェンスを仮に組んで閉鎖している
「工事会社からしばらく閉鎖するって連絡があったんです、現場事務所には私が詰めて居ますので」
そう言う現場監督に、現場検証の際はよろしくお願いしますと声を掛けていると
「頭を打っているかもしれんから診療所でレントゲンを撮るから」
そう言って離れる熊先生を追いかける前に 現場監督に名刺と連絡先を渡す
後で桜は後悔する事になる
何であそこで連絡先を渡したあ〜w
っと自分で自分を、殴りたくなる事態になるとは