異端の学者ガンダル 生命の起源を探して
次の日、ガンダルとアイラは幌馬車で移動していた。
「崖って所はの、不思議な場所で、まだ証明はされてはおらんが
生命の起源が判る場所では無いかと思っておる」
そうガンダルは同じ幌馬車に乗って居るアイラに声を掛ける、荷馬車に乗って居るのは2人だけで 後は調査道具や食料など荷物が溢れている。
「生命の起源?それが金と何か関係が?」
そう問いかけるアイラにガンダルは笑って。
「確かに金も出るがのう 崖の断面を見ると、たまに生き物が石の姿で閉じ込められてたり、するんじゃよ」
そう言うとアイラは眼を見開いて。
「生き物が石にですか?」
そう驚くアイラに。
「そう、落ちている石を拾って こうふたつに割ったりすると 中に虫や魚の姿の石があるんじゃよ」
そう言って右手で左手の手の平を叩く真似をする。
アイラは顔をしかめて。
「でも?何で石の中に?」
そう言うアイラにガンダルは。
「これは仮説なんじゃが その場所は昔、海だったと儂は思っておる」
海?そう問いかけるアイラにガンダルは
帝国の更に北 砂漠地帯を抜けると海と言う場所があり その水は塩水で魚が居ると教える。
「そこで儂はこう仮説を立てた
今、現在陸地になっている場所は、遥か昔は海で何らかの原因で陸地になったと
だから石の姿の魚や貝は、今の姿と似ているが細部が違う」
そう言うとアイラは。
「でも、先生 教会の教えでは………」
口を閉じるアイラ、
この時代では生物は神がお造りになられたと教えており、
人は人 その他の生物もその姿で神が作られて、不変であると教えていた。
それを聞いてガンダルは。
「そう、その仮説を発表したあと、協会に異端審問にかけられて宮廷を追い出された」
そう言った後に そう考えないと説明出来ない事があるとアイラに説明する。
「説明出来ない事?」
ゴブリンじゃよ そう言うとアイラに。
「ゴブリンの繁殖方法は知っておるの?」
そうアイラに言うと想像したく無い事実ですけど
そう返事が返る。
「ゴブリンは人やエルフなどの女性を攫って妊娠させる ゴブリンには雌が生まれないからじゃ ここまではわかるかな?」
そうガンダルが言うとアイラは頷いて返事をする。
「ここで矛盾が生まれる 何故にゴブリンは姿や形が違う、人やエルフを妊娠させれる?」
そう言うとアイラは ハッとした顔をして。
「違う種族なのにどうして?」
そう反応したアイラを見て 頷きながら。
「そう、姿や形は違うのに妊娠する
これは根っ子の部分が同じ生物で無いとあり得ないことなんじゃ つまり」
そう言うとアイラの方を見て。
「遥か昔は人間もエルフもゴブリンも同じ生物が始まりだった
そして気の遠くなる程の月日を重ねて
今の姿に変化した」
それが儂が異端と呼ばれる原因になった仮説じゃよ、 そしてその原因が魔石山脈にあると思っておる。
そこまで言うと馬車は止まった 外から
「崖に着きました お嬢様」
そう言う声が聞こえて来た。