お茶会の完璧令嬢
お茶会に居た全ての人が、こちらを見るのがわかる。
目を奪われたご子息に、令嬢からの嫉妬の視線。
揺れる白銀の髪に、輝く紫の瞳。
白いドレスは髪に良く似合い、所々にあしらわれたアメジストは瞳と同じもの。
そして主催者のアーカス男爵家のご当主様に優雅に挨拶をする。
「はじめましてアーカス様。ごしょうたいいただき、こうえいです。私、シャーロット・シルヴァともうしますわ。よろしくおねがいいたします」
完璧令嬢シャーロット嬢。
6歳にして社交界にその名が響き渡った。
「はぁー、つかれたぁ。このおちゃもらっていいんだよね?」
話しかけても返事をしないカイトに、腕を揺さぶって抗議する。
行くまでは嬉しそうだったのに、不機嫌だ。
黒髪を虐められたのか?
「そんなんじゃない。シャーロット、へんなしゃべりかた、やめて。むしがよってくる」
そんなんじゃないって…。
確かに、この2年で上手くあしらえるようになってたし、そうならないために、こんな隅にいるんだけど。
「れいぎとしてしかたないの。ていうか、むしってなに ?」
ずっと挨拶しっぱなしなんだけど?と言うように視線を向けると、ため息が帰ってきた。失礼な。
「じゃあなんで僕にはいいの。ほかのひとにはダメなのに」
そりゃ、家族は違うでしょと言いたかったが、意味わからん事に私達は幼馴染だ。
「カイトがとくべつなおさななじみだからよ」
近年稀に見る笑顔で言ったのに。
何故か更に機嫌が悪くなったカイトは面倒なので、放置。
私はお菓子を取りに席を立った。