負けず嫌いな変人令嬢
私は、6歳になっていた。
前世の事を思い出すことは、ほとんどなくなった。
私は1度死んでいるのだ。
割り切ってしまった方が生きやすい。
カイトとは、良い関係を築けてると思う。
お母様が謝罪し、息子と認めてからも、私の後ろをトコトコと付いてくる。
とても可愛い、愛らしすぎる。
まるで、鳥の刷り込みのようだ。
母ではなく姉なんだけど。
しかし、カイトは私を姉とは見ていない。
1年程前、いつまでもクローディアを名乗るカイトを不信に思い、お父様に聞きに行ったのだ。
「お父様、カイトはなぜクローディアをなのりつづけるのですか?私達をかぞくとみてくれないのですか?」
「い、いやカイトは私達を家族と認めてくれているよ。あんなに喜んでいただろう?ただカイト自身に頼まれて、クローディアを名乗っ…」
ジトっと睨む私の目。
さっさと理由を話せと催促する。
お父様はもはや私に顔が上がらないのだ。
家族の危機を救った恩人の上、怒らせるとどうなるか分からない。
元々の溺愛っぷりも影響している。
しかし、お父様は教えてくれなかった。
それに、確かに私達は家族だが、シャーロットは幼馴染として接してくれと言われたのだ。
いや、確かに義弟を可愛がるタイプじゃないけど…。
だからって幼馴染って何?
友達を作ってやろうって事なのか…?
教えてくれないお父様に嫌味を言いつつ、カイトには幼馴染として接する事にした。
本人が望んでるなら、それでいいだろう。
「カイトー!いくよ!」
私は思いっきりボールを蹴る。
「シャーロット、危ない。速すぎるよ?」
そう言いつつも、カイトは体を捻りつつボールを打ち返す。
ポテンシャル、たっか。
私達は今、庶民で流行ってるという、サッカーとテニスを掛け合わせた様なスポーツをしている。
幼馴染と言われたので、前世の幼馴染と同じように遊んでいるのだ。
体動かす方が、好きだしね。
そのお陰か、カイトもかなり口数が増えた。
無表情はデフォらしいが、たまに笑ってくれる。
両親は完全に諦めた目でこちらを見てくるが、文句なんて言わせない。
弱味があるのもだけど、私が礼儀作法、学問、剣術と普通の6歳児より優秀だからだ。
元女子高生の私には容易いもの。
決して天才ではなく、秀才になるのが処世術ってやつだ。
「おちゃかい…ですか?」
「ああ、大体6歳から参加になるからな。10歳からは誕生日パーティーをしなければならないし、社交界に慣れといて損は無い。シャーロットは礼儀作法は出来てるしな」
暗に他に問題ありと言われてる気がする。
今日も私はカイトのお下がりを着て、髪をまとめて、男子の格好をしている。
ドレスでスポーツは出来ないのだから仕方ないのに。
「お父様、僕も行っていいですか?」
カイトがそう提案すると、お父様は目を輝かせた。
よくぞ言ってくれた!とか言いそうだ。
同じような格好してるのに。
これは、負けてらんなくなってきた。
完璧令嬢を演じて、お父様の目を見張らせてやる!