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この世界に来るまで
朝目覚めた時、何かがおかしかった。何がと言われてもわからないけど、確かに何かがおかしかった。母も、父も、兄も。みんないつも通り。
友達に囲まれた放課後の寄り道。いつも通りの日常。違和感は消えない。だけど、日常は崩れ去った。
「アンタがいなければ、私のものだったのに…。なんで邪魔したのよっ…!!」
誰かの悲鳴と激しいクラクション。鋭い痛みと共に、私の体は宙に浮き上がった。私を道路へと突き飛ばした親友は、静かに泣いていた。
取り押さえられてる姿を目の端に捉えつつ、私は、ただ痛いほどの哀しみしか感じなかった。
目が覚めたのはしばらくしてからだった。体が思うように動かず、しばらくじっとしていた。車にはねられたのならそんなものだろう。ここは病院なのかな?
ゆっくりと、手を上げてゆき…。気づいたのだ。その手が赤ん坊のものだということに。
私は、シャーロット・シルヴァに転生していた。