頭を過る
なんてことはない些細な事。
小さな小さな砂粒にも満たない物。
そんなものが、落ちてくるたびに辛くなる。
「たったそれだけで?」
「気にする事じゃない」
「思い過ごしだよ」
そう、そうなんだろう、本当は。
けど、それが来るたびに頭の中に浮かんでくる。
その前後に、良い事があろうと、それは何度も何度も何度も何度も。
落ちる砂粒は、大きな鉄球であり、ピストルの弾の如く、暴走車両のように、凶暴で恐ろしい力だ。
「もう疲れた」
揺れ動く者は、鉄塔の上でフラフラと、フラフラと。
「――」
私の頭を過ったナニカが、鉄塔の上に立つ者に、当たる。
彼はグラリと揺れた。
「まさか、こんな事になるなんて……」
そう呟いた彼の手には、石がたくさん握られていた。