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モダンカリキュレーション 白の詠召喚術士  作者: 笹草 熊猫
5章 それぞれのアカシックレコード
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最終話「我汝と共に歩みし者」

 桜吹雪が舞い散る桜の季節。

 俺達はレーヴァサーティンで一番綺麗な桜が咲くと言う桜島へ花見に来ていた。


「銀志! はいっ、あーん」

「……やめろ、 恥ずかしいだろうが」

 

 俺は蛍が箸で挟んでいた卵焼きを自分の箸で奪い取って食べた。


「何であーんしてくれないの!? 男のツンデレなんて流行らないわよ!」

「流行らせるつもりもないっていうの……」

「ふふっ、相変わらず君達は仲が良いな」


 蛍に如月先輩。


「この卵焼き滅茶苦茶うめぇなぁ!?」

「……私のメイドが作ったレシピに外れは無いわ」


 そして来瀬と碧川。


「ははっ、こんな美味しい料理を作ってくれる子が僕のお嫁さんになってくれたら先生嬉しいんですけどね」


 何故か斎藤先生も一緒に来ていた。


「……貴方の様な変態に御嫁さんなんて来ないわよ」


 サラッと毒を吐く碧川。


「ふふ、でもまたこうして集まれるなんて思わなかったですね」

「まったくだな……。まるで夢の様だ」


 ファルシオンが分解されてから4カ月。召喚士養成機関は施設を失った事により閉校し、人々は街の復興作業に追われていた。

 そんな状況の中で俺達が全員集まるのも実に久しぶりの事であった。


「ねぇ? 銀志はこれからどうするの?」

「ん、俺か? そうだな……」

「私の所で用心棒として雇っても良いぞ紫藤君」

「……あら、如月先輩に用心棒なんて必要無いでしょ。私の執事になりなさい紫藤君」

「い、いや。それはちょっと……」


 召喚士養成機関の生徒だった者は召喚士の資格が取れなくなった事により、他の高校に転校した者や仕事に従事する者。ボランティアとして復興に協力する者などに分かれた。

 俺と蛍は特に当ても無かったのでボランティア活動をして今は暮らしている。


「でもよぉ、召喚士の資格は無くても召喚獣が使えんだから、用心棒って意外と有りだよなぁ」

「……来瀬君は駄目よ。役に立たないもの……」

「てめぇ! 俺も少しは役に立っただろうが!」

「まぁ、確かに3人居なかったら勝てなかったもんね」

「僕も先生クビになりましたし、祖国に帰るとしますかね」

「ほう? 祖国ねぇ……バガフに帰るんですか? 斎藤先生?」

「え、如月先輩バガフって――」


 それはつまり斎藤先生って……?


「おや? 気付かれてました?」

「男子の目は騙せても私達の目までは誤魔化せませんよ? 先生」

「紅さんまで!? 先生そんなに分かりやすかったですかね……?」

「先生はもっと匂いに気を付けた方が良いな。女性は鼻が効くからな」

「なるほど……参考にさせて頂きます……」

「でも先生、なんであんなコスプレしてたんですか?」

「コスプレ!?」

「確かにあれは悪趣味だったな……」

「君達そんな風に僕を見てたの!?」


 斎藤先生はこれでもかと弄り倒されたが、何故あんな事をしてたのかは秘密だと言ってそれ以上教えてくれなかった。


「まぁ、さしずめ他国からのスパイっと言った所だろうがな」

「斎藤先生スパイだったの!? 全然そんな風に見えないよ!」

「ははっ……やっぱり如月さんは鋭いねぇ……」


 斎藤先生がスパイだったとは俺も驚きであったが、さすがに困っている様なので俺は助け船を出してあげる事にした。


「そういえば、3人はどうするんだ? 他の高校に行くのか?」

「ふむ、私は父上の下で召喚術の勉強に励むつもりだ」

「……そうね。私も家の仕事に就いて召喚士を目指すつもりよ」

「ふ、俺はだな――」

「来瀬君の将来の夢は盗撮って自己紹介してたかしら? 叶うと良いわね」

「ち、ちっげぇよ! どんな将来の夢を語ってんだ!?」


 そういえば自己紹介の時にそんな事、言ってたけ……。

 うろ覚えだが、まぁどうでも良いだろう。


「で、紫藤君はどうするつもりなんだ?」


 如月の一言で全員の視線が俺に刺さる。


「俺は………」


 俺はアステロトに必ず帰ると約束した。元の世界に帰る方法はまだ分からないが、探し続ければきっと見つけられるだろう。

 まず帰ったら、両親達に親孝行をしてアステロトの奴も労ってやらないとな……。

 そんな事を考えながら、真っ赤に染まる夕日を背に蛍と歩いていた。


「今日は楽しかったね。銀志」

「あぁ、出来れば卒業するまで一緒にチームを組んでいたかったな」

「そうだね……。何だか淋しい……」


 出逢いは一期一会だ。縁があればまた会う事もあるだろうが、もし元の世界に戻ればこちらの世界には戻って来れないかもしれない。

 その前に蛍に真実を話しておくべきか?


「なぁ、蛍」

「ん? どうしたの?」

「俺、昔の記憶が戻ったんだ。そしてお前の両親の事も思い出した」

「……思い出しちゃったんだね……」

「ほ、蛍知ってたのか?」

「ううん、何となくしか覚えてないけど、きっとそうなんだろうなって……」

「そうか。俺が召喚されなければ今頃、紅博士も――」

「違うよ! 銀志が悪いんじゃないの。だって銀志は被害者だもの……」

「蛍……」


 俺は蛍に謝りたかったのだろうか? 何かよく分からない感情が俺の中で渦巻いていた。

 しかし俺はこの感情を上手く説明する術を知らない。


「誰かのせいにするのは何だか違う気がするの。理事長もある意味では被害者だったのかもしれないわ」


 理事長……。彼もきっと戦争で大切な人を失ったのだろう。

 それを思えば理事長だけが悪いとは言いきれない。

 何故、世界には理不尽な哀しみが溢れているのだろうか。


「そうだな……。そういえば蛍はこれからどうするつもりなんだ?」

「私? もちろん銀志が元の世界に戻れるように手伝うわよ!」

「え? でもこっちの世界に戻ってこれる保証が無いんだぞ?」

「何を言ってるの? 銀志1人だけじゃ頼り無いわ。だから仕方がなく私が付いて行ってあげるの。感謝してよね?」


 何故かやけに偉そうに威張り誇る蛍に俺は思わず笑ってしまった。


「ふふっ」

「蛍、今までありがとうな」

「どうしたの急に?」


 俺は今までの事を振り返っていた。蛍が居なければここまで俺はやって来れなかっただろう。

 ある意味で世界の救世主は蛍なのかもしれない。


「いや、何でもない。これからも頼むな」

「任せない!」


 こうして俺達は元の世界へ戻る為の旅に出た。いつになるか分からないが、必ず辿り着いて見せる……彼女と共に。


「我、汝と共にこの道を歩まん」  終

(あとがき)

 ここまで読んで頂き本当にありがとうございました!

 初めて書いた作品という事で、自分の中では練習作という意識が強いのですが、当初は召喚獣(動物)と主人公の絆みたいなのを描写したかったのですがね……召喚獣という設定上なかなか普段一緒に居る機会が少なく、上手く書けなかったのが残念でした……。

 しかし、実際に書いてみると、ここはこうゆう設定にした方が良かったなとかこう言ったエピソードを入れれば良かったなとか色々良い勉強になりました。

 時間が無くて1日で原稿用紙35枚分くらいのペースで走り書いていたので文章とか流れが強引になってないか心配なのですが、もっとイメージを作りやすい様に文章も書けないと駄目だなと痛感しましたね……。

 次回作はこの反省を生かしてもっと良いのを書こうと思いますので、これからもどうか読む機会があればよろしくお願いします!

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