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冒頭

 初めまして!

 こちら初作品となりますので、至らない点も多々あるとは思いますが、出来るだけ毎日更新して行きますので、どうぞよろしくお願い致します!


※MFブックス新人賞の締め切りまでには10万字書く予定です!宜しくお願いします!



「これより召喚士教育養成機関――第8期、ファルシオンによる実力テストを始める!」


 強面な男性の先生が腹の底から出した声は会場内に響き渡った。

 俺は緊張した顔で最初の試験場へと向かう。


「は~い、良いですか? はい。最初は魔力の測定から始めますよ。これを握って息を止めてください」


 だらしない髪をした、やる気の無さそうな保健室の先生は煙草を咥えたまま、俺に体脂肪計の形をした機械を渡してくる。機械の真ん中にはデジタルで色々と数字が表示されている。


(手で握るタイプの体脂肪計……?)

「こ、これで良いんですか?」

「あ、息止めてって言ったでしょ。ちゃんと測定できないから」

「す、すみません……」


 しばらく握っていると機械はピピっと音を鳴らして測定を終えた。俺は魔力測定機を返すと、保健室の先生は数値を見るや否や口から煙草を落とした。


 「はぁっ!?」


 やる気の無さそうな顔から一変し、保健室の先生は驚いた顔で俺の顔と機械の数字を交互に見返す。


「ど、どうかしました……?」

「あっ、ごめんなさいね。OKよ。次の試験場に向かって頂戴」


 何やらよく分からないが、あの驚き様から察するにかなりの魔力値だったのではないだろうか?


(ふっ、さすが俺……というべきか)


 俺は自分の隠された才能に酔いしれた。


「さっきの先生の反応凄かったな~。もしかしてどこかの召喚士の家系か?」

「いや、別にそうゆう訳じゃ」

「そうなのか~。でもあれならA判定確実だろう? 才能がある奴は良いよなぁ」

「あぁ、俺にはどうしても召喚士にならないといけない理由が有る。その為にもこんな所で躓いて何か要られないからな」


 この国は召喚士の国と呼ばれ、16才になった者は召喚士の資格を習得する権利を与えられ、ファルシオンへの入学を許される。

 貴重な召喚士は国の財産としてそれ相応の待遇を受ける事ができる為、才能のある者は富と名誉を得る為、競ってこの門を潜るのだ。

 だが、俺は違う。俺は、あの災厄の黒歴史に終止符を打つ為にここへ来たのだ。


「ほっほう~? おっと、自己紹介がまだだったな。俺の名前は海棠拓馬かいどう たくまだ。よろしくなっ!」

「俺は紫藤銀志しどう ぎんじだ。宜しく」


 俺達は自己紹介をしながら次の試験会場の扉を開ける。しかしそこで待っていたのは……。


「きゃー!!」

「変態よ! 変態がいるわ!」


 なんだと……俺とした事が部屋を間違えて女子の更衣室へ来てしまった……のか?

 しかし随分大胆な下着を身に付けているな。


「し、紫藤!? まさか、お前の言ってた『どうしてもならないといけない理由』って……」

「ち、違うわぁ! 部屋を間違えただけだ!」

「でもお前……鼻血出てるぞ?」

「え?」


 俺は海棠に言われ、鼻血が出ている事に気付いた。


「先生! こいつら確信犯です。殺す許可をください!」

「う~ん、いくら相手が変態さんでも殺す許可は出せませんが……記憶が消えるくらいなら大丈夫でしょう♪」


 その一言で大量に現れる召喚獣達。その後、俺達はボロ雑巾の様に殴られ三途の川を見る事になったのだった。 


                 ☆   ☆   ☆   ☆  


「おい! 変態ブラザーズ。事情は分かったが、次こんな真似したら本当に殺すからな?」

「「す、すみませんでした!!」」


 なんとか誤解は解けた物の、早速、変態ブラザーズという2つ名を手に入れた俺達はボロボロになりながら次の試験場を目指す事になった。


「よーく聞け! ここでは認識能力テストを行う!」


 小さな身体をした妖精のピクシーが叫ぶ。


「認識能力テスト?」

「簡潔に説明するとだな……感情のコントロール。周囲の状況を把握し、適切な行動ができるかを見るテストだ!」

「なるほど」

「分かったな? それじゃ行くぞ!」


 ピクシーは俺の額に手を当てて目を閉じた。


「ふむ、お前……試験の最中に覗きなんてしたのか。最低だな」

「い、いや! それは不可抗――」


 その瞬間、バレーボールサイズの白いボールが俺の顔を左から抉り飛ばした。


「いってえ! い、一体どこから!?」

「ん~、駄目駄目だなぁ……。それじゃ次の試験へ行きたまえ」


 ピクシーは小さな評価シートに点数を書き込んでいる。


「え? これで終わりですか?」

「そうだ! さぁ、行った行った!」


 ピクシーに捲し立てられると、納得は行かなかったが次に進む事にした。まさかワンチャンスしか無いとはなかなかシビアである……。


「いいか? 次は集中力テストだ。この黒い風船に一定の魔力を10分間注ぎ続けろ! 但し、魔力の注入量が多すぎても少なすぎても消滅するから気をつけろよ?」


 眼鏡を掛けた理系の先生に黒い風船を渡されると、俺は気を取り直して風船に魔力を集中させる。


(よし……、感覚は掴んだ! これなら10分余裕でいける!)

「あ、あの子だよ~。さっき覗きしてた男子生徒って」

(なにっ!?)

「えー、何か嫌だなぁ……。同じクラスメイトにならなきゃ良いけどね」

「最低よね。人間の屑だわ」

(この野郎!? 言わせておけば!)


 その一瞬の隙が集中力を乱してしまい、黒い風船は大きな破裂音を鳴らすと共に消滅した。


「ああん? お前2分以下って俺を馬鹿にしてるのか?」

「あぁっ! いえ、決してそうゆうつもりでは……」


 俺は肩を落として項垂れた。


「よっしゃぁあ! 次は体力テストだ! 5kmあるこのコースを走り抜ければ合格だ!」


 次は体育会系の先生だ。がっしりとした体格をしており、肌は日に焼けて黒い。


「え? それだけですか?」

「ふふっ、もちろんだ! だが、速く走らないとあの檻の中に居るダイアウルフに噛みつかれてリタイアになるからな!」


 指を指した方向には大きな檻が見えるが暗くて中までは見えない。しかし獣の唸る様な声が聞こえている。


「え? ダイアウルフってなんです――」

「それでは位置について……」

「え? あ、あの!」

「よーい、どん!」


 そして檻の鉄鋼子が解放されると、中から素早い身のこなしでダイアウルフが飛び出してきた。


「グルルルッ!」


 赤く光った鋭い眼はこちらを獲物と見定めると猛ダッシュで駆け抜けてくる。

 

「はぁぁぁぁ!?」


 俺の脚は本能による物なのか勝手にゴールへと向かって走り出していた。


(冗談ではない! あれは駄目だ奴だ! 捕まったら殺される!!)

 

 しかし、4kmを過ぎた辺りで俺のスタミナは尽き、あっさりと捕まってしまった。


「よぉぉぉおし! よくがんばった! 次が最後だ! 頑張れよっ!」


 疲れた……さて次は何が待っているのやら……。


「よく来たね、ここでは霊性のテストをするよ」

「霊性?」


 最後の先生は感じの良さそうな先生だった。


「目には見えない力の繋がりを感じる能力の事だよ。召喚を行使する時にも、この能力は大事になるからね。それじゃこれを持って」

「これは?」


 渡されたのは、スマートフォンの様な携帯端末だった。というかスマートフォンだ。


「これは、『サモナーデバイス』。召喚術を行使する際に召喚事故が起きない様、安全に使用するものだ。さぁ、この魔法陣の上に立って」


 俺は言われた通り赤い五芒星の描かれた魔法陣の上へと歩いて行く。


「そしたら心を静めて……意識をここでは無い別の世界に向けて」


 俺は目を閉じた。召喚術とは無数ある異世界から召喚獣と呼ばれる者を召喚する術。その中でも白魔術召喚は悪魔等の危険な召喚獣を排除し、安全性を高めた召喚術なのだ。


「良いね。そしたら自分と波長の合う者を探してみようか。大丈夫、サモナーデバイスが君を導いてくれる」


 色々な力の波動を感じる。その中からサモナーデバイスが示す世界へと意識を持って行く。

 その世界は神秘的で神々しい生き物が住んでおり、幻想に満ちた世界であった。

 そして、その中に1つ自分と波長の合う力を感じる。


「見つけたようだね。さぁ、召喚するんだ」

「……我、レーヴァサーティンの力を受け継ぎし子也。気高き異界の存在よ、今こそレーヴァサーティンの盟約により、我の前に実体と成りて姿を現せ……召喚!」


 魔法陣は閃光の輝きを放ち、異世界への扉を開いた。そしてその扉から召喚された者は――


「ど……どこじゃ、ここは……?」


 その身は銀色の光沢がある毛並みに包まれ、瞳の色はエメラルドの様な輝きを放っていた。


「……ね、猫……?」


 俺の召喚に応じて現れた召喚獣は……『ただの猫』であった。

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