旅4
私には気掛かりなことがあった。
「それより長野、卒業旅行で、また同じところに行くことになるけど大丈夫?」
私が聞くと、長野は、「え?全然大丈夫だよ。今日はホテルに泊まるだけで、他はどこにも行かないし、今度、また来る時は、手間取ることとかが少なくなるから、遊ぶ時間が増えて、いいと思うよ。」と言った。
わからないが、たぶん、長野は気を使っている。確かに、いろんなことがスムーズにできるし、長野も、また同じとこに行く気でいるが、やっぱり、まだ行ったことがない場所のほうがいいはずである。
長野には内緒で、田中と相談して、また旅行の行く場所については、考え直さないといけないかもしれない。
とりあえず今は、長野に話しを合わせておこう。
「そっか、わかった。でも、聞きたいことが多すぎて、まとまんなくて。
もう少ししてから、また聞いてもいい?」
「あっ、うん、まだ、おばあちゃんの家まで行くのに時間かかりそうだから、着いたら、また、こっちからも電話するね。」
「うん、ありがとう。じゃあ、気をつけてね、風とかもすごいから。」
「うん、わかった。じゃあ、また電話するね。」
「はーい。」
私は電話を切った。台風は弱まる気配がないようで、時々、窓がゆれるほどの風が吹いている。長野はホントに大丈夫だろうか。心配だが、気にしてもしかたがない。私は、また、ゲームを始めることにした。そういえば、田中から、やっと小屋から抜け出せる、扉の場所を教えてもらったところだった。扉の先には、いったい何があるのだろうか?私はゲーム機の電源をつけた。




