手紙
放課後。
レオンの机の上に一枚の紙。
『放課後、寮の裏で待ってます』
レオン、無言。
ソラが横から覗く。
「お?」
ルカが秒速で食いつく。
「呼び出し!?青春!?」
クレアも身を乗り出す。
「行きなさいよ」
「行かない」
即答。
ユイが穏やかに言う。
「ちゃんと返事はしたほうがいいよ」
レオン、少し黙る。
ソラが腕を組む。
「逃げる方がダサいぞ」
「……」
ルカがニヤニヤ。
「大丈夫だよー。取って食われないって」
クレアが背中を押す。
「ヒーローでしょ?」
レオン、ため息。
「……行けばいいんだろ」
四人、親指グッ。
「いってらっしゃい!」
⸻
寮の裏
夕方。
人通りの少ない場所。
レオンが現れる。
少し遅れて女子生徒が来る。
「あ、あの!、、私、アイネ・ツールっていいます」
レオン、真っ直ぐ見る。
「話って?」
女子は緊張している。
「その……あの戦いのとき、本当にすごくて……」
「助けてくれて、ありがとうございました」
レオンは一瞬目を伏せる。
「俺一人じゃない」
「みんながいたからだ」
女子、少し笑う。
「やっぱり優しいですね」
レオン、少し照れる。
「……それで」
女子が深呼吸。
「よかったら、今度一緒にお茶でも――」
沈黙。
レオンは少し考える。
そして。
「……いいけど」
女子、固まる。
「え?」
「暇な日なら」
小さく頷く。
女子の顔がぱっと明るくなる。
「ほんとですか!?」
「ああ」
少し不器用な返事。
でも、ちゃんと前向き。
⸻
その頃
寮前。
ソラたち四人が普通に座って待っている。
「尾行は?」
ルカが聞く。
「しない」
ソラ即答。
「レオンに怒られる」
クレアが腕を組む。
「ちゃんと帰ってくるかしら」
ユイは穏やかに笑う。
「大丈夫だよ」
数日後。
レオンは例の女子――アイネと、中庭で軽くお茶をしていた。
穏やかな午後。
他愛のない会話。
「レオンくんって、意外と甘いもの好きなんですね」
「別に嫌いじゃない」
少しずつ自然に話せるようになっている。
アイネはよく笑う。
よく頷く。
よく聞く。
アイネは、誰といても居心地良くなるタイプの女の子だった。
共同塔。
ルカが机に突っ伏している。
「いいなーーー!私も呼び出されたい!」
クレアが紅茶を飲みながら言う。
「あなたは自分から突撃するタイプでしょ」
「違うよ!されたいの!」
ソラが呆れる。
「何のこだわりだ」
ユイは穏やかに笑う。
「レオン、楽しそうだったね」
クレアがにやり。
「帰ってきたら問い詰めるわよ」
完全に保護者目線。
その後、レオンは何事もなくお茶が終わり、寮前。
レオンが戻って来た。
「おかえりー!」
「どうだった!?」
「普通だ」
だが少し柔らかい表情。
四人がニヤニヤ。
レオンはため息をつく。
「騒ぐな」
だが。
確かに少し、世界が広がった気がしているレオンであった。
女子寮の廊下。
アイネは自室へ戻り、扉を閉める。
笑顔が、静かに消え、机の上へ向かう。
小さな黒い結晶。
彼女はそれに触れる。
すると、微かに光りだす。
低く、誰にも聞こえない声で呟く。
「接触完了」
「対象、警戒心は低いわ。」
結晶の中で、淡い影が揺らぐ。
聞こえるのは、楽しげな少年の声。
「うん、いいね」
「焦らなくていいよ」
「じっくりいこう」
アイネは表情を崩さず、
「私、アンタのこと疑ってるからね」
「なんでー。正真正銘君たちと思想はおんなじなのにー、」
明るい声がする。
対照的にアイネの声には温度がない。
「まあいいわ、その件はまた今度。とりあえず任務を続けるわ、、、アバン」
結晶の光が消える。
外では夜風が吹く。
部屋から窓の外を眺めたアイネは昼間と同じ笑顔を作った。




