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fORmulArS decipher(フォーミュラーズディサイファー)  作者: 澄田 葵伊
王都クレアレス編

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屋台

タペスト事件から三日後。


学園は復旧作業中。


というわけで――


一週間、臨時休校。


「最高!!」


クレアが両手を広げて叫んだ。


寮の男女共同塔の机を囲んで座っているのは、ソラ、ユイ、クレア、ルカ、レオンだった。


「これはもう屋台通りに行くしかないでしょ!」


「なんでだよ」


ソラが即ツッコミ。


「休み=屋台でしょ!常識よ!」


「その公式初めて聞いた」


ルカが苦笑する。


ユイは小さく頷いた。


「……屋台、ちょっと楽しみ」


レオンは腕を組んでいる。


「俺は別に……」


「来るわよね」


クレアが即決。


レオンの拒否権、消滅。



中央街・夜市通り


夕方。


ずらっと並ぶ屋台。


焼き串、揚げパン、果実飴、スープ、焼きとうもろこし。


香りの暴力。


「うわぁ……」


ユイの目がきらきら。


ルカはすでに串を二本持っている。


「早いな!?」


「戦いは情報と初動だからね!」


屋台で戦うな。


クレアは店主に笑顔で注文。


「おすすめ全部!」


「全部!?」


ソラが振り向く。


「金額見てる?」


「今日は私が出す!」


「貴族の財力きた」


レオンがぼそっと言う。


そして――


五人、屋台横の長椅子に集合。


「いただきまーす!」


串をかじるクレア。


「熱っ!!」


即火傷。


「だから落ち着けって」


ソラが水を渡す。


ユイは綿菓子と格闘中。


顔の半分が砂糖。


「……溶ける」


「溶けてるのはユイだよ」


ルカは巨大肉串を誇らしげに掲げる。


「見てこのサイズ!」


「武器かよ」


レオンが少し笑う。


「平和だな」


その一言で、空気が柔らぐ。


ソラはそれを見て、少しだけ安心した。



屋台ゲームコーナー


輪投げ。


射的。


くじ引き。


「私こういうの得意よ!」


クレアが輪を投げる。


――全部外す。


「惜しい!」


「どこが」


ルカが挑戦。


的を華麗に倒す。


「おおお!」


「地味にすごいな」


ユイは小さなぬいぐるみを狙う。


外す。


もう一回。


外す。


三回目。


偶然ヒット。


「……やった」


小さくガッツポーズ。


レオンは射的で一発命中。


店主が感心する。


「兄ちゃんうまいな」


「まあな」


ちょっとドヤ顔。


ソラは輪投げで奇跡的に大物を取る。


巨大ぬいぐるみ。


「え、なんでソラが」


「冷静に角度計算した」


「理系か」


結局、そのぬいぐるみはユイの腕の中へ。



帰り道


夜風が少し涼しい。


みんな満腹。


クレアが満足そうに言う。


「やっぱりさ」


「こういう時間って大事よね」


ルカが頷く。


「戦いより難易度高かったなー。屋台は」


「どんな理論だ」


レオンが静かに言う。


「……ありがとな」


クレアが一瞬止まる。


「な、なによ急に!」


「いや、楽しかった」


ユイも小さく言う。


「……また来たい」


ソラは空を見上げる。


「まあ、たまには悪くないな」


クレアがにやっと笑う。


「でしょ?じゃあ次はもっと大きい祭りに行くわよ!」


「予定増やすな!」


五人の笑い声が、夜道に溶ける。




屋台から帰った夜。


学園は休業中だが、寮は通常通り。


それぞれの部屋へ戻る。



女子寮 ― クレア&ルカの部屋


扉が閉まる。


「……はあ」


クレアがベッドにダイブ。


「食べすぎたねー」


「自業自得だよ!」


ルカが冷静に水を渡す。


しばらく無言。


クレアが横目で見る。


「ねえ、ルカ」


「ん?」


「今日、楽しかった?」


ルカは少し考えてから答える。


「……うん」


「正直、ああいう騒がしいのは苦手だったけど」


「今日は楽しかった!」


クレアが少し笑う。


「そっか」


ルカが小さく言う。


「クレアは無茶するけど」


「場を明るくするのは上手いよねー」


クレアが固まる。


「な、なにそれ急に!」


「事実だよ」


ルカは笑顔。


クレアは照れて枕を投げる。


「恥ずかしいじゃーん!」


枕が顔面直撃。


沈黙。


そして、二人同時に吹き出す。


控えめだが、楽しそうな笑いが聞こえてくる。



■男子寮 ― ソラ&ユイの部屋


静かな部屋。


ユイはぬいぐるみをベッドに置く。


ソラは椅子に座る。


「……今日はありがと」


ユイが小さく言う。


「ん?」


「誘ってくれて」


「誘ったのはクレアだろ」


「でも、ソラも来てくれた」


ソラは少し目を逸らす。


「まあ、暇だったし」


ユイは少しだけ笑う。


「……ソラってさ」


「意外と優しいよね」


「は?」


「レオンずっと気にしてた」


ソラは顔をしかめる。


「当たり前だろ。仲間なんだから」


ユイは少し嬉しそうに頷く。


「うん」


少し間。


ユイが言う。


「同じ部屋でよかった」


ソラが一瞬止まる。


「……まあ、俺もユイでよかったよ」


照れ隠し気味に言う。


ユイは安心したようにベッドへ。


「おやすみ」


「おう」


灯りが消える。


暗い部屋。


だが、前より少しだけ居心地がいい。



■別室 ― レオン


一人部屋。


静か。


窓を開ける。


夜風が入る。


「……賑やかだな」


小さく笑う。


そして、ベッドに倒れ込む。


「悪くない」


一人呟く。



同じ屋根の下。


それぞれの部屋。


距離はまだ少しある。


でも確実に縮まった。


戦いじゃない夜。


ただの、穏やかな時間。


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