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卒業生がくれたもの

作者: 舳里 鶏


なろうラジオ大賞6に参加させていただきました!


1000文字……………1000文字って、何文字?と思いながら書いてました。


てなわけで、どうぞ

 「……なんで、お前と一緒に観覧車に乗っているんだ?」

 学ランの襟のホックを上まで止めた男子高生が生真面目な声で目の前にいる後輩の女子生徒に尋ねる。

 「最近彼氏が出来た友人の惚気があまりにも鬱陶しくて、むしゃくしゃして先輩を呼びました」

 「その労力は彼氏を作ることに向けろ」

 「………」

 「なんだ?」

 「いや。それより、先輩、なんか具合悪いですか?」

 後輩に言われ、男子高生は少し目を丸くした後首を横に振る。

 「そんなことはないさ」

 「ん-………先輩がそう言う時ってそんなことある時なんだよな……予定とかあったら、今すぐ帰ってもいいんですよ?」

 心配そうに、そして申し訳なさそうにいう後輩に男子高生は寂しそうに笑った後、観覧車から見える景色に顔を向けた。

 「俺の友人に彼女が出来た」

 本当に突然脈絡もなく言われ思わず後輩はたじろいでしまった。

 「それは、おめでとうございます………でいいんですか?」





 「ああ。めでたいことだ。友人の彼女が俺の想い人だったことを抜かせばな」






 思ったよりもタイミングが悪かった。

 「あの………本当にすいませんでした」

 「謝るなよ。寧ろ呼んでくれてよかった。一人だったら泣くところだったからな」

 外の風景に目を向けながらそう答えた。

 「そういう時は泣いた方がいいですよ」

 「泣くものか。友人が手に入れた幸せだぞ?失恋男の涙で水を差すわけにはいかない」

 失恋に聞く特効薬は涙だ。しかし、この男はそれを拒否している。




 「なら、この後、映画見に行きませんか?」

 本当は、もっと別の言い方で渡すつもりだった映画のチケットを見せる。

 「は?」

 「ちょうど、全米が泣いた映画が公開中なんです」

 「?」

 







 「映画で泣いちゃったらしょうがない、そうは思いませんか?」

 


 後輩の言葉に眉をピクリとあげ、少しだけ微笑む。



 「そうだな。それならしょうがないな」

 「ええ。しょうがないです」

 









 「なあんて、日がはるか昔のことのようですね」 

 肌寒さが少しだけ残る春の日。二人は観覧車に乗っていた。

 「もういいだろ、その話は。それ以外に言うべきことがあるだろ」

 「あ-……まだ、引きずっていますか?」

 「そうじゃない。後、引きずってるわけないだろ!もう一年以上たってんだぞ」

 「それは良かった」

 「何が?」

 男子高生の言葉に後輩はにぃっと笑う。

 「今なら、弱みに付け込んだ女じゃないってことですよ」

 「は??」










 「卒業おめでとうございます。ついちゃあ、私に先輩の第二ボタンをくれませんか?」






1000文字と言うのは思ったよりも大変でした。

いかに普段再現無く書いているかが分かりますね。

良い修行になりました。

そして、修行しつつも楽しかったです。

楽しい二人であると同時に最初に考えてた時より、大分まともな子になりました。




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