3 王子が勇者でマリエールが聖女
マリエールは予想通り聖女だった。衛兵が国王のところへ連行しようとするのでマナーを守ってほしいと言う。
3 王子が勇者でマリエールが聖女
臨時の称号の判定会だ。次期国王となるべき王子が勇者として討伐するのが望ましい。もっと深刻なのが聖女だ未婚の聖女がいない。全学年を通じての判定会が開かれる。
マリエールは自分が聖女になりたいのか判らない。別の人がやってくれるならそれていい。自分のやりたいことが聖女なら出来るのか、聖女でなくても出来るのか良く判らない。しかし自分には聖女の魔法も使えるし勇者の力もある。つまり連携の大切さを伝える魔王討伐の物語に反して私は単独で魔王を倒せる。転生者だからか。
自分の順番が回ってきた。酷く機械のように冷たく、
「次の方、右手で水晶玉を触れ下さい。」
私は言われるままに水晶玉に触れた。神父は砂の中に宝石を見付たごとく紙ペンを走らせ、護衛に一言かけ、マリエールに満面の笑みで話しかけた。
「あなたこそ我が国の宝です。今からこの者達が国王陛下のところへご案内します。」
衛兵達が私を逃がすまいと取り囲む。マリエールは国王陛下のところに参りますので連行するようなまねはしないで下さいと言うと手を話し、すまないと言った。
国王の部屋に行くと王子もいた。国王とは始めてというわけでもない。特に学年末の表彰では2回会話をした。
「マリエールやはりきみだったか。聖女としての任は大変重いがきみならやり遂げられるはずだ。ここに居る王子と共に魔王討伐を命じる。」
魔王討伐命令だけなら簡単だが、付帯事項がついてしまった。私は国王に条件を出した。
「王子と聖女は結婚するものだと聞きました。2年前私は王子に鬱陶しい女だと酷評されました。その悔しさは今でも忘れられません。王子との結婚が前提ならお断りします。」
国王はチラリと王子を見て
「勇者と聖女は長い間苦楽を共にするので、結婚に至る事が多いと言うだけだ。結婚は強要ではない。それに王子がきみに不快なことをしたならなおさらだ。」
それからマリエール達は幾つか確認をしていった。国王は、
「出来るだけ早く討伐したい。来週から王城に入って王子と連携の練習をして来月始めには討伐に向かって欲しい。」
被害が出ている。一刻も早く討伐したいのだろう。
「今から行ってきます。10分ほどで帰ります。証拠は魔王の魔石でいいですね。王子行きますよ。」
マリエールは王子の左腕に右腕を絡めて転移した。
一瞬で魔王の頭上だ。マリエールは魔法を放った。魔王の身体がぐらりとした。
「王子も魔法を放って下さい。」
幾ら王子が自分勝手でも私は剣の方が得意だと言える状況にはないことが判る。王子も幾つか魔法を放った。マリエールも同様だ。魔王も強烈な魔法を放ってくるがマリエールのバリアで食い止めた。
「王子、私の最終奥義を出します。王子も全力を出して下さい。」
王子は頷く。マリエールは、
「最終奥義、光と土と風の多重貫通魔法。」
拳大の石が魔王の眉間から脳を貫通した。
「殲滅」
魔王を収納した。
「帰還しますよ。」
2人は国王の部屋に帰還した。マリエールは魔王の魔石を護衛を通し国王に渡した。王子はくどくど話しをした。やっと寮に戻れる。
魔王討伐だ。王子と共にと言う命令だから従うしかない。