プロローグ 好きです!!!
一目見た瞬間、頭を閃光が駆けた。
先ほどまで感じていた眠気は、嘘のように一瞬で覚めた。
これが運命の出会いだと、この人が運命の人に違いないと、頭がうるさいほどに告げてくる。
上質な糸のようなサラサラとした銀色の長髪。
アメシストのように輝く紫色の瞳と、それを縁取る長い睫毛。
シミひとつない透き通るような肌に、桜色の小さな唇。
女性らしい華奢な体。繊細そうな綺麗な指。制服の短いスカートから伸びた、スラリと長い足。
女神か天使か何かなのか!?
俺が今までに出会ったどんな女性よりも可愛い。
こんな人間が存在してもいいのか?と思うほど、「どタイプ」すら通りすぎた俺好みの見た目。
美しいという言葉がこれ程ピッタリな人はいないだろうと思う一方で、そんな言葉では表しきれないと思うほど綺麗な先輩。
綺麗、可愛い、清楚、優雅、可憐――俺が知っている美しさを形容する言葉の全てが、この先輩のためにあるみたいだ。
好きだ。大好きだ。仲良くなりたい。付き合ってほしい。結婚してほしい。
どんどん気持ちが高まって、鼓動が早くなっていく。
『人と関わるときに1番大切なのは第一印象よ。』
何より信じてきた母さんの教えだけど、第一印象だけでこんなに心を揺さぶられることがあっただろうか。
いてもたってもいられずに席を立つ。
先輩はその音に驚いたようで、大きく見開いた目でこっちを見た。
アメシストと目が合うだけで心臓が大きく跳ね、今まで味わったことのない幸福に満たされる。
先輩が俺を見てくれるだけで嬉しい。
頬が勝手に緩んで、気を抜くとカッコ悪い顔になりそうだ。
俺は少し自信のある運動神経で机を飛び越え、先輩の前に跪く。
真っ直ぐに先輩の目を見る時には感情も心臓の動悸も最高潮に達していた。
こてんと可愛らしく首を傾げる先輩に、大きな声で言った。
「好きです!!!結婚を前提に、俺と付き合ってください!!!!!」
――――俺はこの日、人生で初めて恋をした。
先輩は整った小さな口を開くと、女性にしては低い声で冷たく言い放った。
「は?キモい、無理。」
――――そしてこの日、俺は初めて失恋をした。
高校の課題研究の一環で書きました、新連載です!
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