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1-6 ホタル

連投中!

「でっか!!」


「でかいけど、旨いよ?」


 ビチビチと跳ねる巨大な魚。多分私の胴体ぐらいはある。


 リベルトはそんな巨大な魚をあっという間にシメめると、グサリと枝に突き刺して豪快に焚き火で炙り始めた。野性味溢れるその様子に、色んな意味でドキドキとする。


「恐るべし地上探索班………」


「え?」


「だって、凄まじいサバイバル技術じゃない。ナイフとパラシュートぐらいしか持ってなかったのに。その魚どうやって捕まえたの」


「……ガッと」


「…………ガッと??」


「そう。ガッと、捕まえた」


「へ、へぇ……?」


「慣れだから」


 そう言うとリベルトはもう話は終わったとばかりに焼き魚の世話を始めた。


 パチパチと気持ちのいい木の爆ぜる音が聞こえる。


 ゆらゆらと揺れる火は、なんだか妙に目をひきつけて。瑞々しい森の中で生きてここにいることを、じっくりと教えてくれているようだった。


 じりじりと魚が焼けていき、香ばしい香りを立ち上らせる。


「……リベルトは、辛くない?」


 ずっと、気になっていたこと。


 私は、魚が焼けていくのを見ながら、ポツリと言葉を溢した。


「何が?」


「……私のこと助けて、一緒に地上に落ちる事になっちゃったから」


「あぁ」


 少し、不安に思っていた。普通なら、ああやって落下した者は助けることなんてできない。見殺しにするのが普通―――いや、それ以外に選択肢がないのが普通だった。


 それを、リベルトはわざわざ、一緒に落っこちて、こうして一緒にサバイバルしてくれている。


「全然辛くないよ」


「……ほんと?」


「俺、地上好きだから」


 そう言うと、リベルトは薪の位置を変えた。チリチリと火の粉が舞う。そして、ゆらゆらと燃える火を眺めながら、リベルトはぽつりと呟いた。


「……なんなら、モネとずっと地上にいたっていい」


「えっ……ず、ずっと……!?」


「…………はい、焼けたよ」


 そう言うと、リベルトは魚の半身をナイフで切り取って大きな葉っぱにのせ、私に差し出した。


「ありがとう……」


「ん。塩かけるからちょっと待って」


 香ばしく焼けた魚に、パラパラと塩がふられる。


「リベルト、よく塩なんて持ってたね?」


「……たまたまね」


「あってよかったよね。美味しさ全然違うもんね」


「そうだね」


 そう言うと、リベルトは半身が無くなった魚にがぶりと齧りついた。


 さっきの、ずっと地上……というのが気になりつつも、なんだかもう一度聞き直すのも憚られて、私も魚を一口頬張る。


 白身のふんわりした柔らかさに、パリッと焼けた皮としょっぱさが素晴らしいハーモニーだ。


「んー!美味しいー!」


「だろ?」


 リベルトは嬉しそうに、枝に刺したままの魚を齧る。なんとなくその姿が野性味に溢れていて、でも妙に自然で、不思議な感覚を覚える。


「……なんか、ワイルドだね、リベルト」


「そう?」


「うん……船にいるときより、伸び伸びとしてる感じがする。前より不機嫌じゃないし」


「……そうかな」


 リベルトは食べ終えた魚の頭と骨をポイッと焚き火に投げ込むと、刺していた木の枝でつついた。


 火の粉が森の暗闇に舞い上がり、溶けるように消えていく。


「あれ?なんか光ってる?……飛んでる?」


「あぁ、ホタルだよ」


「ホタル……?あの、体内に発光器官を持ってるやつ?」


「そう、それ。多分これから集まってくるんじゃない?結構綺麗だよ」


 そう言うと、リベルトはサラサラと流れる川の方を指さした。


 1つ2つと光が増えていく。


 それはチカチカと点滅しながら、あっという間にたくさんの光になって、高い木の上の方までを照らすように広がっていった。


「っなにこれ!?すごい!!」


「ここ、水綺麗だからね」


 真っ暗な空間の中に、たくさんの光が点滅する。


 まるで星の海の中にいるみたいだ。


「綺麗……」


「……ここまで群集になって光るの、この一帯だとここぐらいだよ」


「そうなんだ?」


「水が綺麗で、丁度いい水量だからだろうね。そうじゃないと、うまく繁殖できない」


 リベルトの声が、優しく響く。


 ちら、とリベルトを見たら、パチリと目があった。


 リベルトは、多分もっと前から私を見ていたのだろう。焚き火の光に照らされて揺れる瞳が、しっかりと私の方を見ていた。


「あ、こっち来た」


「え?」


 はっと我にかえる。


 ぶーんと羽音が聞こえて。リベルトが伸ばした腕に、それは光を湛えたまま止まった。


「っっでかっ!!!」


 え、私の手のひらサイズぐらいあるんだけど。


 なにこれ。


「遠目なら綺麗だけど、近くに来ると邪魔だな」


「いやちょっと怖い!!あと眩しい!!!」


 確か図鑑で見た奴は、もっと儚げな感じだったのに。え、この巨大な虫が、この光の数だけいるの?ゾッとして、身体を縮こまらせる。


「刺したり齧ったりしてこないから大丈夫だよ」


「そう言う問題じゃない!!」


「……シェルター入る?」


「入る!!!入りましょう!!!」


 パタパタとシェルターの中に引っ込む。


 リベルトは可笑しそうに笑いながら、火を片付けてシェルターの入り口を狭くし、私の横に寝転んだ。


「もう大丈夫。入ってこないよ」


「ありがとうリベルト………」


「虫苦手?」


「苦手というか、あんだけ大量にいるのはちょっと怖い」


「まぁ……それはそうか」


 リベルトは暗がりの中で納得の言葉を吐き出すと、ゴロンと体制を変えたようだった。


 まだ目が慣れなくてよく分からないけど、こっちの方を見ている気がする。


「……綺麗な生き物もいるよ?図鑑に載ってないようなやつ」


「ん?そうなの?」


「うん。オーロラみたいな色の鳥とか、真っ白いリスとか、鱗粉が光る蝶とか」


「え!そんなのいるの!?」


「たてがみが金色の馬もいるし、尾がびっくりするぐらい長い、七色のオウムもいる」


「すごい!!見たい!!!」


「……見に行く?」


 さらりと髪の毛が撫でられる。


 ビックリしてリベルトを見ると、リベルトは暗がりの中、少し体を起こして、私を見下ろしていた。


「モネと地上を旅して回るのも、案外いいかもね」


「ち、じょうを、旅……?」


 リベルトは、するりと私の頬を撫でた。


 そして、そのままその手が、私の耳元を優しく撫でる。


 でも。暗がりの中ぼんやりと見えるリベルトの顔は、何だか寂しげだった。


「リベルト……?」


「…………夜の分、まだだったよね?」


 ゆっくりとリベルトの顔が降りてきて。そのまま、かぷりと唇を食べられた。


 でも、なんだろう、今までのよりずっと優しい感じがする。


 あやすように私を撫でていたはずの手は、なんだかもっと、熱を帯びているように感じた。


「もっと、地上のこと、好きになって、モネ」


「ち、じょうのこと………?」


 ちゅ、と唇を話したリベルトは、静かな声でそう言った。


「もっと綺麗なとこ、連れてってやるから」


 そうしてまた、少し優しく唇が重なった。


読んでいただいてありがとうございます!


どんどん甘さが増してまいりました(*ノωノ)!!!

「七色のオウム見たい!!」と思ってくれたピュアなあなたも、

「どこにでも連れて行ってください...!」と鼻血を垂れ流すあなたも、

いいねブクマご評価ご感想なんでもいいので応援していただけると嬉しいです!

また遊びに来てください!

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