表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインに攻略されないと死ぬゾンビホラー乙女ゲーの攻略対象に転生したんだが!?  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/49

怪我


 でも俺はゲーマーなのだ。

 しかもアクション、格闘が得意な。

 本物の銃も、海外で練習したことがある。

 本物ではない銃もサバゲーで扱った。

 千代花(ちよか)だけに戦わせるのは、やはり心苦しいのだ。


「次の部屋に行ってみよう」

「は、はい。そう、ですね……」


 ゾンビに関して、考えても仕方のないことだしね。

 結局、襲ってくるのなら千代花(ちよか)に倒してもらうしかない。

 隣の部屋に移動すると、そこにも武器を持ったゾンビがいた。

 千代花(ちよか)が頭を潰して倒すと、やはり黒い水のようになり床に消えてしまう。

 床に……吸い込まれるように。

 思わず床の素材を確認してしまうが、石みたいなんだよな。

 ゲームだからと深く考えたことはないけれど、死体がなんの痕跡も残さず消えるって結構おかしなことでは?


「あ、食糧がありましたよ! これは、パンですね!」

「今度こそ高際(たかぎわ)さん! 食べてください!」

「え、でも見つけたの真嶋(ましま)……」

高際(たかぎわ)さん、食べてください!」


 次の部屋にあったのはアンパンだ。

 アンパンなんてゲームの中にあったかなぁ?と思いつつ、真嶋(ましま)に差し出されたアンパンを受け取る。

 本当に俺にくれるの?


高際(たかぎわ)さんもちゃんと食事してください。千代花(ちよか)さんも高際(たかぎわ)さんも、僕らの生命線です」

「そうです! 高際(たかぎわ)さんがいるから、私は……頑張れるんです」

「っ」


 真嶋(ましま)はともかく千代花(ちよか)のセリフと表情は胸にくるものがある。

 それでもやはりエネルギーを必要とするのは、体を動かす千代花(ちよか)だろう。

 受け取ったアンパンを二つに割って、さらに四分割する。


「甘いものは熱になるからみんなで食べた方がいい。墨野(すみや)も食っておけよ。血は止まったみたいだけど、得られる栄養は多い方がいい。途中で動けない、なんて言われても困るしな」

「いいのかぁ!? ありがとう、高際(たかぎわ)! お前本当いいやつだよなぁ!」


 餌付けされて懐くんじゃねぇよ。

 不本意だが、真嶋(ましま)は見つけた当人だし千代花(ちよか)には媚びなければならないから食べてほしい。

 俺も食べたいし、墨野(すみや)だけのけものにはできないから仕方ない。

 四人で四分割したアンパンを食べる。

 三口くらいで食べ終わるが、なにか口に入れただけでもなるほど、かなり精神的に違うな。


「食糧も水も多くて助かるな」

「はい。怖いですけど、高際(たかぎわ)さんのいう通りにして正解でしたね」

「はい! そうですね」

「あとは出口もあるといいんだけどなぁ」


 こいつらも甘いものを食べてリラックスしたのか、先程の張り詰めた感じが少し薄らいだ。

 人間あまり長時間緊張していられないからな。

 しかし、部屋から出たらまた気を引き締めてもらわねばならない。

 地下三階の部屋は残り五。

 廊下を千代花(ちよか)が先行すると、ついに出た。


『『『ウァァァァァァァァァァァ』』』

「こいつは!」

千代花(ちよか)ちゃん、頭だ! 頭を潰すと強くなるから、一気に三つ潰せ!」

「はい!」


 三つ巴である。

 頭を三つ持つクリーチャー。

 頭を潰すたびにリミッターが外れるように強くなっていく。

 安全に倒す方法など、一気に頭を潰すしかない。

 しかし元々のスペックが高い、サブボスの強さ。

 千代花(ちよか)が一気に頭を蹴り飛ばそうとしたら、腕でガードしやがった。

 さらに足を掴み、俺たちのいる場所から反対側へと千代花(ちよか)を放り投げる。

 その上で、こちらに顔を向けた。

 ヤッベェ!


真嶋(ましま)墨野(すみや)を部屋の中に連れて隠れろ!」

「た、高際(たかぎわ)さんは!」

「奴の気を引く! 千代花(ちよか)ちゃん!」

「は、はい!」


 前転して廊下に出て、真嶋(ましま)墨野(すみや)を部屋の中に戻す。

 顔が二つ、ぐるりと180度回転してこっちを見る。

 いや、キッショ!

 目が合った瞬間の怖気たるや。

 全身一気に鳥肌たった。

 残念ながら武器になりそうなものはなにも持ってない。

 あんなやつに掴まれただけでも、俺の手足は容易く折れる。

 触られたら一貫の終わり!


『ウァァァ』


 はい、そんで駆け足で迫ってくるんですね、クソ野郎。

 だが、ゾンビ三体分の体は三メートル近くあり、要するにでかい。

 駆け足で近づいてきた三つ巴の股の間目掛けてしゃがんで、飛び込む!


「今だ!」

「はい!」



 股の間を潜るという一発技。

 元の俺の体ではできなかったかもしれない。

 高際(たかぎわ)の体の方がしなやかでバネのある筋肉なので。

 俺が股の下を通り過ぎたことで、転ける三つ巴。

 その頭を千代花(ちよか)がかかと落としで踏み潰す。

 あっぶね……。


「うわああああ!」

「!? しまった!」

真嶋(ましま)さん! 墨野(すみや)さん!」


 俺と千代花(ちよか)が部屋から離れた隙に、武器を持ったゾンビが三体、部屋に入っていくのが見えた。

 千代花(ちよか)がすぐさま部屋に駆けつけて、肉を潰す音が聞こえてくる。

 立ち上がって、俺も部屋へと急ぐ。


真嶋(ましま)さん! 大丈夫ですか!」

「うっ……あ、足が……!」

「っ! 傷を見せろ、真嶋(ましま)。ズボンの裾切るぞ」

「うううっ」


 よりにもよって足かよ!

 部屋の片隅に逃れた二人は、縮こまって頭を抱えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】

4g5a9fe526wsehtkgbrpk416aw51_vdb_c4_hs_3ekb.jpg
『転生大聖女の強くてニューゲーム ~私だけがレベルカンストしていたので、自由気ままな異世界旅を満喫します~』
詳しくはホームページへ。

ml4i5ot67d3mbxtk41qirpk5j5a_18lu_62_8w_15mn.jpg
『竜の聖女の刻印が現れたので、浮気性の殿下とは婚約破棄させていただきます!』発売中!
詳しくはホームページへ。

gjgmcpjmd12z7ignh8p1f541lwo0_f33_65_8w_12b0.jpg
8ld6cbz5da1l32s3kldlf1cjin4u_40g_65_8w_11p2.jpg
エンジェライト文庫様より電子書籍配信中!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ