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小帝王細戦線
全く攻撃が通らない。
相手はナイフを投擲武器や近接武器として巧みに操り、こちらの動きを制限してくる。
対してこちらは刀。
動きの制限がかけられている以上は広い屋根の上でも動きにくい。
元々、この刀自体が長めに作られている。
狭い場所での戦闘は想定されていない。
と、俺が色々考えていると、そいつが口を開いた。
「そろそろ苦しくなってくる頃では?」
・・・そうだ。今、俺は考え事なんてしている暇はない。
俺は、そいつの攻撃を避けられているわけではない。
少しずつでも、攻撃をくらえば体力は減少していく。
「まぁ、そうだな・・・」
俺は、刀を持ち直す。
そうだ、やられてばかりじゃいられない。
刀を形態変化させ、短くすることが出来ればそいつを突破できる。
・・・その時間を作るためには、そいつの攻撃を防ぐ必要があるが、俺にそんな余裕はない。
で、あるならば。
「それしか無い、か・・・」
そう呟き、刀を形態変化させる。
その間は、勿論攻撃を受け続ける。
しかし、今そんなことを考える余裕はない。
ただ、刀に力を注ぎ込む。
「さぁ、逆襲の時間だ・・・」