まだ明けきらぬ夜の闇に
~物語を始める前に~
暗く冷たい孤独な世界に、差し込む小さな光。
歩むべき道を見失っては、悲しみに打ちひしがれそうになり、孤独に苦しめられ、絶望に陥る。
それでも諦めずに立ち上がっては、よろけながらも光に向かって歩き続けていたら、今まで見えていなかった世界の輪郭がなんとなくだけど見え始めてきた。
「誰かと同じに生きる必要なんてねぇ、誰かの人生と俺の人生を比べる必要もねぇ。俺は俺の正しいと思う生き方を誠実に楽しみながら全うすればいいんだ。」
そんな答えが、45歳になってようやく見え始めてきた。
その答えにたどり着くまで、多くの人たちに迷惑をかけてきた。
この物語を執筆するにあたって、勇気を与えてくれた鳥取警察刑事課の永野刑事をはじめ、新宿区戸塚警察署留置係のみなさん。湾岸警察留置係のみなさん、私の話を親身になって聞いてくれた取り調べ検事さん。裁判官。そして、私の更生を信じて厳しくも実直に熱意をもって私と真正面から向き合ってくれた、静岡刑務所の工場担当刑務官、岡村のオヤジ、小島のオヤジ。
子供のころから、どうしょうもなかった私を「ともだち」と呼んでくれた友人たち。
私が私の人生を生きてきた中で出会ったすべての人たち。子供のころから憎み恨んでいた私の両親。
妹たち、弟たち。 すべてに感謝してこの作品を執筆する。
俺の、物語を聞いてくれるかい?