エピローグ
ディラン王国、相変わらずのどかな感じだ。
「ハリナ様!こんなところに。」
「ジェネシス、うるさいぞ。鳥が逃げてしまったではないか。」
庶民の服を着こなした黒髪の少女は赤髪の男の方を向いて頬をパンパンに膨らませて言う。
「すみません。ですが、お嬢様にはお仕事がありますので。」
「毎日毎日下らない書類に印を押すなど誰でも出来るじゃん。」
ハリナはまた海を眺めた。
「それより、キララは見付かったのか?」
「いえ、未だに…」
「そうか…」
海から強い風が流れる。
地虎の本拠地、ドンバニオン。
「おぃ!酒持ってこぉい。」
体格が大きすぎるボス、フィークはその図太い笑い声を張り上げていた。
「お父様、いい加減にやめたら。体に悪いよ。」
扇をパタパタと扇ぐ女性が言う。
「いいだろ!傷を治すには酒がいいんでぇ!」
女性は頭を痛そうに押さえる。
「ところでぇ、イヴ、キララは見付かったのか?」
「総勢で探してますが、未だに。」
「どこに行っちまったんだか。」
部屋を暖めている炎がゆらっと揺れる。
アリナキングダムの一角には子供を預かる施設が出来上がっていた。
そこには子供たちが自由に遊び、自由に暮らせる世界だった。
「マモねえちゃん、タキくんがいじめた。」
そんな子供の世話に明け暮れるマモリ。
「奴も物好きじゃの。」
「そう言うレイ様も物好きじゃないですか。」
奥の方の日陰に座って、優雅に紅茶を飲む老婆がいる。
「そうかものぉ。ジン。」
老婆はマモリを眺めて微笑む。
「もう、若返らなくていいんですか?」
「野暮な事を聞くものではないぞ。ワシの役目も果たした。」
「役目ってまだあるじゃないですか。」
「キララか?」
「はい。」
声を出して笑うレイ。
「それはぬしらの役目じゃ。ワシは見守っておくの。」
日陰は段々と伸びていき、やがて日の色を変えていった。
カラカラ王国。
「おい!デルタム!何をしてる!まだ終わってないのか。」
そこの城では毎日のようにマク・ベの怒鳴り声が響いた。
「いいじゃんかよ!」
「早くやれ!すぐやれ!出なきゃ今すぐ出ていけ!」
と怒鳴って部屋から出ていく。
「使えない王をもつと大変だな。」
「ラドウェルか、どうだった?」
ドアを出てすぐの所にラドウェルが腕を組んで壁に背中を置いていた。
「砂漠にはいないみたいだ。誰も見てないそうだ。」
「そうか、」
マク・ベは悲しそうな顔をする。
「どこに行ったんだ、キララ。」
「神、どうなさいますか?」
「首謀者だけを裁いてきなさい。」
イスに座る小柄な金髪の少女はそう言った。
「わかりました。」
白いマントを身に付けたものたちはせっせとその場から姿を消した。
「ゾフィ、私はこれで良かったのかな?」
「当たり前だ。世界を救ったんだから。」
「それでも、裁きを下すほど私はまともな事はしてない。」
「じゃぁ君以外に誰がやるんだい?前の神のように自暴自棄になる神や、その権力から世界征服を目論む神も出るだろう。」
「だって、スターだって良いじゃん。」
「創成の力をもつ物が神になるんだよ。悪魔は破壊の力だから。」
「わかったよ。なにいっても私しかいないって言うんでしょ。」
「正解。」
「だったら私がやるよ。平和な世界にしてみせる。」
キララは夜空を見上げた。
そこには幾億の星が煌めき、何万の流れ星が最期の力を使い眩しく光っている。
人もまた、幾憶いて人生を煌めきさせ、何万もの命が光輝き消えていく。
その世界を変えず、戦があれば止めるものがいなければならない。
ムダな流れ星が流れないように。
全てが輝き続ける流れ星でありますように。
キララの創成の力は新しくこの世界を創った。
キララは自分の願いを空へ歌った。
最期まで読んでいただきありがとうございました。
気に入っていただいたなら幸いです。
感想等は次回作の参考にもなりますので、是非よろしくお願いします。
本当に最後までありがとうございました。