第七章≧五部∞最期の平和
相変わらず陽光を拝むことが出来ない曇天の朝。町に戻ってきた3人は、すでに出発準備を終えている4人と合流した。
「何処に行ってたんだ。」
ラドウェルが3人を睨みイラついたような口調で言う。
「お前には関係ねぇよ。」
そんなラドウェルをバカにしたよう言うジェネシス。
「なんだと、夜な夜な消えてスパイかと思ってたんだぞ。」
「良かったな。そのスパイが帰ってきて。」
「あぁ、今ここで仕留めてやるよ!」
「望む所だ!」
「黙れ!」
レイが怒鳴る。
「こんな所でケンカをしとる場合か!これから何処に行くんだ?それがわかってたらこんなことをするはずが無いじゃろが!」
柄にもなく喧騒な顔つきをして、魔力の束が体の外に溢れ乱舞している。
「すまない。」
ラドウェルは素直に謝る。しかしジェネシスはニッと頬を吊り上げ、
「レイこそ落ち着いたらどうだ?」
ジェネシスの立てられた人差し指がレイのおでこに触れる。
「レイが一番取り乱してるじゃないか。楽にしろよ。じゃないとオレたちが困る。」
レイは周りを見回す。全員心配そうな顔をしていた。ここにいるなかでまともに神の使いの幹部とやりあえるのは、レイとジェネシスのみ。他のはきっと足手まといになるであろう。
しかし、レイは絶対に全員を生きてまたこの場にいよう、世界を守って全員でまたお風呂にでも入ろう。今ここでそう思った。
「すまないの、ジェネシス。目覚めと言うものは気持ちが良いものじゃ。」
両手の指を絡ませて背伸びをしながら言った。
「え?起きてから3時間は経ってますよ?」
空気を読まないマモリがビックリして言う。
その事でレイてジェネシスは大声を上げて笑う。
マモリは恥ずかしそうにアタフタとしていた。
「よし、行くぞ!キララ、」
レイはキララを見る。強張る顔の力強い目線をレイに向けて頷く。
「スター、」
レイはスターを見る。相変わらずすましているが、ネックレスをチョコチョコいじっているところを見ると緊張をしているのだろう。
「マモリ、ジン、」
レイはマモリとその肩に乗っているジンを見る。マモリは握られた手を胸辺りに近づけ大きく頷く。ジンはガッツポーズのような事をしていた。
「ラドウェル、」
レイはラドウェルを見る。長めの髪を、改めて1つに結び直している。
「ジェネシス。」
レイはジェネシスを見上げる。余裕を見せているが内心こいつが一番プレッシャーを感じているのであろう。
「聖域に向けて、」
「行くぞ!」
キララが勢い余って走って行った。
「コケるに賭ける。」
「じゃぁワシはコケないに賭けるかの。」
言うまでもなく転けた。
「まったく、幸先の良いことじゃな、ジェネシス。」
「ホントだよ。」
頭を抱えるレイと打って変わってジェネシスは笑顔に満ちていた。
そして全員は目的地である聖域、フィルデスタへと歩みを進めた。