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きらきら星と流れ星  作者: kazuha
第7章
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第七章≧二部∞記憶の穴


 初日の夜。まだ北の地に入る事は出来ない。


 まだ寝るには早いが月の明かりしか無くなった世界で先に進むのは危ない。一行は森の中で野宿をすることになった。


 焚き火のパチンという音が鳴り響く。それを囲むように座りパンをかじる。


「あのさぁ、」


 その中、キララは誰と無くしゃべりかける。


「聞く機会がなかったから今聞くけど、どうしてスターやマモリやジンやラドウェルと一緒に行動するようになったの?」


 その問いにジェネシスが口を開いた。


「覚えてないのか?」


 キララは小さく頷く。まったくとため息を垂らし改めて口を開く。


「闘技大会があった町が神の使いに襲われた。」


「そこまで覚えてる。町が燃えてて、神様の声を聞いた所から記憶が無いの。」


 神の声と聞いて首を傾げるジェネシス。


「神の声は聞いてないが、」


「ワシも聞いとらん。」


「私も!」


「僕も!」


「オレも聞いてない。」


 ジェネシスだけじゃなかった。ほとんどの人が神の声を聞いていない。


「オレは聞いたぞ。なんて言ってたかわからないが。」


 暗い、しかし冷静な声でスターは言う。


「気にしなくていいよ!私が知りたいのはそんなことじゃないし。」


 キララは両手を伸ばしきり大きく左右に振った。


「そうだな。」


 ジェネシスも話を戻す。


「それからオレたちは町から脱出しようとした。そしたら逃げ遅れた少女を見つけた。」


「私でーす!」


 元気に手をあげて言うマモリ。


「死にそうじゃった奴が嬉しそうに言うな。バカ者が。」


 レイが喝をいれるように強く言う。


「ごめんなさい。」


 少し泣き顔のマモリの頭を撫でるジン。


「話を戻すぞ。崩れた家に足を挟まらしてたからとりあえず助けた。そのまま逃げてたら神の使いと戦っていたスターとジンとラドウェルを見付けて危ないところを助けた。」


 なるほどとなっとくしようとしたら、


「全部お嬢がやったんだがな。」


 それを聞いて驚愕するキララ。


「そうなの!?」


 全員一様に頷く。記憶のないキララは目を丸くしていた。


「まぁそういう流れで知り合って、一緒にここまで来た。がジンを見るや否やすぐに襲い掛かってきたから始末して、あの王国を解放したのもお嬢。」


 もう頭がこんがらがって破裂直前だった。


「はい。記憶がなかった何日かの話でした。」


 あっけらかんとするキララ。ジェネシスの方は記憶が無いとも思っていなかった。


「私寝る。」


 と言って寝袋に身を埋めたキララ。


「あぁ、おやすみ。」




 そのあとを次ぐようにマモリとジンも寝た。


「レイ様、まだ言っておられないのですか?」


 焚き火に目を向けながらスターは訊ねる。


「なんの事じゃ?」


「オレたちが双子って事ですよ。」


 少しの沈黙を保ったあとレイは語り出す。


「言っとらん。ぬしみたいに大人じゃないんじゃよ、まだ。これを言ってやつ自信が壊れたら一大事じゃ。じゃがもう言わねばならないことぐらいわかっとる。神を倒すことが出来るのはぬしの天地の奥義じゃ無く、あやつの創成の奥義じゃからな。」


 語り終わった後にため息をつき、立ち上がりキララの近くにより寝袋に身を埋めた。


「ワシも寝かせて貰うぞ。」


「おやすみなさい。」



 そのあとラドウェルもいつのまにか寝てしまい起きていたのは2人だけになってしまった。


「ハリナ、」


「スターにしてくれ。オレはそんな王族の名に相応しくない。」


 そう言うとジェネシス吹き出すように笑った。


「ダグラス様、いやお前の父によく似てる。その天地の奥義も父の主流だったんだぜ。」


 スターは首にかけていた紫のペンダントを手に取り眺める。


「ジェネシス。オレの本当の父はどんな人だったんだ?」


 ジェネシスは片眉をあげて、やがて父のような温かな顔をして答え始めた。


「ダグラス様は優しいお方だった。でも間違った事をしたら叱ってくれた。身よりのないオレにでも。」


 ジェネシスは空を見上げた。


「お前みたいに口数は少ないが一つ一つの言葉に重みがあって、いかにも一国の王という存在だった。剣術も凄かった。オレ、結局勝てなかったんだよな。」


 1人で寂しく笑った。


「寝たか。」


 ジェネシスの隣ですーすーと寝息をたてて寝てしまったスター。


「まだこういう所は子供なのかな。」


 スターに寝袋を被せジェネシスは近くにあった薪を焚き火のなかには放り込んだ。


「キララはリナ様のようだよ。笑顔も、負けず嫌いな所も、自分しか見ないところも。まったく、2人が小さくなったみたいだ。」


 ジェネシスは嬉しそうにつぶやいた。





 朝日が眩しく、鳥のさえずりが心地よくなる。そうなる頃にレイは目を覚まし、準備運動を始める。


「すまんの、ジェネシス。」


「慣れてるから平気だ。」


「そうか。」


 まだ起こさぬようクスリと笑うレイ。


「そろそろ起こすか。」


「そうじゃな。」


 意見が一致するとレイは左手を天に向ける。マントが不規則に流れる風に踊らされながら、レイの回りには風の流れによって青白い球が、天に向けた掌に集まる。


 そのうち掌でバチッと大きな炸裂音がなる。


 その音に飛び起きるスターとラドウェル。2人は立ち上がり身構えた。


【雷撃】


 しかし、2人には向けられずまだ寝ている3人に紫の雷が落ちた。


 バリバリ、3人はまともに当たった事で髪の毛は全て立ち、体に帯電しており手足があちらこちらを向いていた。


「やりすぎだろ。」


「怠け者にはいい薬じゃろ。」


 ジェネシスは傲慢に笑いパンを取り出して3人に投げつけた。


「とりあえず食え。」


 朝から心臓に悪いな、と思いながら昨日と同じ位置にすわるスター。そしてパンをかじる。









 やっとの事で起き上がるキララ。髪を指で解かしながら体をパキポキを鳴らしついでに頭を2、3回叩く。


 その動作をしているときにパンが飛んできた。それを両手で取る。


「さっさと食え。もう行くぞ。」


 立ち上がり重い荷物を背負うジェネシス。それを見てキララは慌てて荷物を整理してすぐに出発の準備をした。


 そしてすぐにまだ隣でおかしな体勢で寝ているマモリとジンを見付けた。


 そのままジェネシスに目を移す。


「起きないから置いてく。」


「ちょっと待ってよ!」


「そうですよ!」


 その言葉ですぐさま立ち上がる2人はキララの前に来て訴えかける。


「痺れが戻ってるクセに起きない奴が悪い。」


「まだキララが寝てたからいいかなって思ったんだよ!」


「ですYO♪」


 ジンはすぐさまレイのゲンコツの餌食になった。


 ジェネシスはマモリにパンを2つ投げた。


「2人分だ。歩きながら食えよ。」


 そう言って歩き始める。言われた通りにパンをかじりながら歩く3人であった。

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