第六章≧六部∞懐かしい人
引っ張り出されて外に来てしまった。今は別に何処にも行く気になれないのに。
「キララ!魚だよ魚!」
マモリが驚いたようにはしゃぐ。それにつられてジンも魚の回りを飛び回る。
「お嬢ちゃん!今なら安くしとくぜ!」
「ホントに!じゃぁ、サンマ下さい!」
「あいよ!可愛い子が来てくれたからサービスしちゃう。もう一本タダ!内緒だぜ。」
「おじさんありがとう!」
「まいどあり!」
なんやかんやですでに買わされてないか?
「いやぁいい買い物したね。」
「そうか?」
苦笑いを浮かべるしかなかった。街の中心街を練り歩く。昨日の今日ですでにここまで活気付くとは思っていなかった。
「皆すごいよね。急いで家作り直して、急いで商売道具揃えて、もう買う側の方まで来てる。」
そうだ。そんなに頑張らないでももうこの世界は終わるのに。
「きっと明日とか考えてないんだよね。」
「僕もそう思います。」
私はその言葉に疑問を覚えた。
「なんでそう思うの?」
「だって、スッゴく楽しそうじゃん。明日死ぬかもって考えてる人はあんなに笑えないと思うよ。」
私は辺りを見回し片っ端の人を見る。確かに皆とびっきりの笑顔で笑っている。なんか自分が惨めに感じてきちゃった。
「あ!団子屋さん!」
と言ってさっさと行ってしまった2人。
「まったく、私にもちょうだい。」
私も駆け足で2人に寄っていく。
急に現れたら黒い影に当たった。弾かれ尻餅をついてしまった。
「ったー」
言葉になっていないような唸りをあげた。
「いたいなぁ。」
相手は情けない声で感嘆の声を放った。
そして記憶の回路が物凄い勢いである答えを導きだす。
「デルタム!」
「あのときの痛い姫!」
お互い立ち上がり指を差しあった。
「誰が痛い姫よ!」
ヒィ!と悲鳴を上げて一歩づつ下がっていく。
「デルタム。まず謝りなさい。」
それを後ろから捕まえて言う背は高く、厳つい顔立ちの男。
「マク・ベ!今のは奴が!」
「大人ならまず先に謝るのが礼儀だ!」
よくわからない再会だ。なんともまぁ、ばったりも良いところだ。
………
とりあえず、話がしたかったので団子屋の中に入る。そこで出てきたのは、緑色した草餅にあんこの乗ったあんだんご。そして赤、白、緑の三色の色が美しい三色だんご。
「いただきます!」
デルタムはそれらを一気にたいらげる。
「はじめまして、マク・ベと申します。こちらは付き添いのデルタム。失礼をお許しください。」
マク・ベがマモリたちに挨拶をした。が、マモリたちもまたデルタムのようにだんごをたいらげていた。
「すみません!おかわり!」
「お茶もお願いします!」
私はため息を付く。マク・ベはもちろん唖然としている。
「ごめん…、こっちはマモリで、フェアリーの子はジン。」
「ШУЦулЕκ×♀℃$≧」
マモリがなにかを言おうとしたのだが何を言っているかさっぱり…
「おかλЫ!」
まともな会話が出来ない…
騒々しいなか2人で話を進めた。
「なるほど。で気分転換を無理やりやらされていると。」
「うん。なんとか出来ない?あいつら。」
私は愚痴を言う趣味はないが、どうしてもモヤモヤしてしまって誰かに言いたかった。
「しかし、キララも少し大人になられたらどうだ?オレが聞く限りキララの方が悪く聞こえる。」
「なんでよ!」
声を荒げて机を叩く。それによって周りのお客の視線を一気に集めてしまった。
「すみません…」
会釈をしてゆっくりと座る。
「オレはジェネシスの方が正しいと思う。よく考えるんだ。」
そう言って立ち上がるマク・ベ。
「いつまで食べてるつもりだ。行くぞ。」
と言ってデルタムを引きずって行こうとした。
「そうだ、お代は、」
机の上に金のコインが三枚置かれた。
「なんでこんなに!」
それは三枚で家が買えるほどの大金だった。
「なにも出来ないがそれで防具とか買ってくれ。あとお代も。」
そう言って消えて行った。なんだかんだで気にしてくれてたのかな?
「わかったでしょ。皆怖いの。死ぬのが。でも自分が崩れたら周りも崩れるのを知ってるの。」
だんごを1つ口に入れるマモリがそう言う。
「しかもあのマク・ベって人はキララに希望を持ってる。」
私は金貨を眺める。
「世界破滅の日が近いのは暗黙の了解。それを打破出来る人が今その現実から逃げてるの。わかる?」
私は何も言い返せなかった。自分に自信がないからだ。なにが本当でなにが間違えで、頭の中がゴチャゴチャだ。
「キララがいないとダメなんだよ。キララの刻印だけが世界を平和に導くの。」
私は自分の胸に手を当てた。私は望んでいない能力を持っている…
余計混乱してきた。
「戻ろう。私も実はよく解らないんだ。キララの本当を。」
私は頭を縦に振った。
「よし!お会計お願いします!」
マモリは立ち上がり右手を上げて店員を呼んだ。
金持ちだなあの2人は。