第一章≦きらきら星≧七部∞人の子
第一章きらきら星最後。
砂漠のど真ん中、運良く洞穴に身を置けた。愛用のラクダちゃんを置いてきてしまったから色々不便だ。何よりも水が雀の涙程度しかなく大変危険な状態だ。
「ここから北に一番近い町があります。」
マク・べが言う。
「ダリアか?」
「はい。」
ジェネシスは溜め息をついた。
「何かあるのか?」
デルタムが聞く。私は焚き火に薪をくべる。
「いや、何もない。」
ジェネシスは間抜けに答えた。デルタムは転ける。私は笑った。
「あ、笑った。」
デルタムは呟く。身体が熱い。このボンボンめが!
「五月蝿い!この変態が!」
私は殴り掛かる。いや殴っている。マク・べは止めに入るが止まらない。ジェネシスに助けを求めても笑って見ているいるだけで止めようとはしなかった。
完全に再起不能にした所で私は眠りに入ってしまった。
「寝たのか。」
「あぁ寝た。」
私に毛布をかけた。
「なぁ、」
真夜中だった。目を覚ましたのは。
「お前は何故デルタムを追放した?」
ジェネシスの声が霞むように響く。焚き火はメラメラと燃えており、明るかった。しかし洞穴の外は月明かりもない入ってはいけない感じを見せた。
「王の子だからだ。」
マク・べもまだ起きていた。私は二人の会話を盗む。いわば寝たふりだ。
「本当の事は言えないのか?」
私の隣でデルタムが気持ち良さそうにイビキをかいていた。
「君には負けるよ。」
マク・べは笑った。私には強がったようにしか聞こえなかった。
「デルタムには聞かせたくない。わかってくれ。」
「あぁ。」
ジェネシスは低い声で唸る。
「カラカラ国はいわゆる独裁政治になっていた。先代によって。町の者たちには飢え死にする者まで出てきた。私はその事をほっておく先代が許せなかった。」
「それで殺ったのか。」
私はゾクッときた。あまりに憎悪が溢れて来るので恐怖さえ感じる。
「あぁ。刀で一刺しだ。そのあとオレは邪魔者を排除にかかった。」
しかし、その言葉を発した時の彼には迷いが見えた。
「それで改革を行った。オレが王となってな。」
「嘘をつかないで。」
私は寝たまま口を出した。
「追放した理由は嘘よね。」
マク・べは言葉に困る。
「本当は先代王を殺してない。本当に殺したのは町の人たちだったんじゃない。」
焚き火がパチッとなる。
「それで次はデルタムだと思った。どうにか生かそうと思った。それが追放というものだった。違う?」
「そうだ。」
静かに答えるマク・べ。
「ラドウェルは飢え死にしそうだった子なんじゃない?その子を助けてあげた。どっかに預けた?どうでもいいけど、」
私は言葉を捨てた。また寝ようとする。
「当たりだ。君には敵わないな。」
私は毛布を深く被る。
「ラドウェルを助けたすぐに預けた。それがあのようになったとは。」
イビキが止まる。死んだのかな。
「あの子になら殺されても良かったんだ。」
私は立ち上がる。
「オレでも助けられなかったんだ、あの町を。」
後ろから足早に近づく。
「オレはようなし…」
私はマク・べの頬を平手で叩く。辺りにはその音がこだまする。
「死んで良いわけない!」
私は怒鳴る。自分を傷つけると知っていて。
「死ぬな!死ぬな!死んでどうするんだ!」
私は崩れる。
「すまない。」
謝られても困る。自分もなぜこんな事をしているのかさえわからない。私はなんでこんなに剥きになってんだ?
次に目が覚めたのは朝だった。水も底に尽き一刻も早く町に行く必用がある。
私たちはしょうがなくあの町に進むのであった。
今後もきらきら星と流れ星をよろしくお願いいたします☆次回からは流れ星編




