第五章≦流れ星≧三部∞死霊山
目覚めは最悪だ。昨日のあの感じからの目覚めだ。
気分転換に外で空気でも吸いに行くか。
3人を起こさないようにゆっくりと歩き、きしむ床と戦いながらドアに手をかける。
「頑張れ!そこだ!」
オレは驚く。しかし冷静にいつも通りマモリの寝言であろうと考えた。
オレは振り返らずゆっくりとドアを開けて部屋を出る。そして閉めるのもゆっくりと。
そのあとは坦々と外に出れた。
まだ真っ暗な空。懐かしい風景に感嘆を覚える。
あのどの山よりも高い死霊山に住んでいるレイ様は元気だろうか。
時間があれば寄って挨拶したいが…、迷惑だろうな。
町を歩き始めた。朝は賑やかな町だが、夜は生きるのがやっとの人たちが腰を丸め地面に座り寝ている。
どこでもこの風景は変わらないのだな。
南だから長く生き長らえられているが、北ではそんな死体がごろごろと転がっている。
嫌な世界だ。レイ様はそれを粛正しようとされた。
レイ様は昔は神の使いの幹部と自分で言っていた。
日差しが山々の間から出てきた。
「戻るか。」
誰にも聞かれず、ただ昔のように自分に言う。
オレは歩いてきた道をまったく同じように歩く。
「あんたら、賞金をとるわよ!」
無視。
「ちょっと待てぇい!」
なぜこんな奴らに止められなければならない。
「なんだ、嘘つきおばさんとその他もろもろ。」
「おばさんじゃない!あたいは世界一美人の盗賊団のリーダー、ズーラ様だよ。」
「あっそ。」
「あっそ。じゃない!」
「その他もろもろでもないぞ!」
「でごんす!」
「はいはい。」
無視して宿屋に戻ろうとする。
「待てぇい!」
なんなんだ。取っ掛かって来やがって。
「あんた、あの時は良くもバカにしてくれたわね。」
「普通の対処をしてるまでだ。」
「てめぇ!」
「止めときな、ガジャ。」
デカノッポが殴り掛かろうとしてきたが、それをおばさんがとめる。
「あたいたちはそんな殺生はしないだろ。」
「すいやせんズーラ様!」
「いや、解ればいいんだよ。」
面倒だからこのやり取りの間にそろっと逃げた。
「あいつ、どこ行った!」
うるせぇな、あいつら。
「逃げたでごんすよ。」
「なんで言わねぇんだ!」
「ズーラ様、やっぱカッコわりぃよ。」
「うるさい!」
宿屋につくまでその声は聞こえていた。
日はすでにその姿をあらわにしていた。
「初!キャピタル盗賊団!リーダーのズーラ様だよ。」
「同じく、…」
「なにやってんだ?」
「なんかの芸じゃないですか?」
「ふざけてんだよ。」
「自己紹介くらいさせろ!」
「まだズーラ様しかまともに名前だしてないんだぞ!」
「次回も読んでくださいね。」byマモリ
「オレの剣が唸りをあげる!」byラドウェル
「無視するな!」byキャピタル盗賊団
「やっぱカッコわりぃっすよ。ズーラ様。」
「うるさい!」