第一章≦きらきら星≧六部∞因果故に
「これで開くはず。」
マク・べが6つ全ての鍵を扉にはめる。門がキリキリと甲高い音を出して開く。
ジェネシスは剣を構えた。私は地面に座ったまま立てずにいた。
「いつまでそうしてるつもりだ!敵さんは待っちゃくれねぇぞ。」
ジェネシスは怒鳴る。私の腕を荒く掴み、無理矢理立たせた。私はふらつきながらも杖のおかげでなんとか立った。
「わかってるわよ!」
私はまだ濡れている顔を袖で拭う。
門が完全に開いた。予想通り民間人も敵らしい。無数の民間人が弓を構えて待っていた。
「うわ!」
デルタムは相変わらず腰を抜かして尻餅をつく。
矢の雨だ。横なぶりの。
「そいつらは頼む!」
「オッケイ!」
【水のカーテン】
私は腰を抜かしたデルタムとマク・べの前に立ち杖をかざすなりすぐさま壁が出来た。矢の弾を弾く。二人は身動きをしない。デルタムは出来ないだけだが。
矢の雨をジェネシスはくぐり抜け突っ込んで行く。
【紅蓮―篠火】
剣が業火を吐き、民間人を焦がす。一瞬にして大軍と化していた民間人は焼け野原となった。
「さぁ逃げるぞ!」
このまま一直線。そこには町の出口がある。デルタムは誰よりも速く走り続けた。
出口だ。見えてきた砂漠。
それは一瞬の感覚だった。出口には一人の若い男が立っている。ジェネシスより若いだろう。
「王子と統治者を置いていけ。そうすればお前たちは助けてやろう。」
私は危機感と言うものを初めて思った。こいつ、強い。
「ラドウェル!」
腰に細い剣を身に付け髪は腰まであるのを上の方で一本に結っている。
「ラドウェル、何故だ!」
マク・べは剥きになって叫ぶ。
「あなたが信じられない。」
それにラドウェルは静かに答える。
「あなたは庶民の事を考えていない。」
私たちが口を出してはいけない気がした。
「そうか、何も出来なかったのか。」
マク・べは俯く。
「あなたは…」
ジェネシスが静かに動く。
轟音が鳴り響く。金属と金属がぶち当たった音だ。
「オレを殺そうとした!」
敵意むき出しだ。私はジェネシスに続こうと動く。
「殺すなら殺せ!」
マク・べが叫ぶ。ジェネシスはその言葉を聞かない。私は一瞬動揺してしまったが。
「いま殺してやるよ!」
ジェネシスは退かない。それどころか全ての攻撃を防いでいる。
「何故退いてくれない!」
マク・べはジェネシスに言う。
「オレにもわかるよ。」
静かに語る。
「ラドウェル、お前の気持ちは。」
ラドウェルの剣を弾き飛ばした。
「わかるわけないだろ!じわりじわり自分の死に近づいて行く苦しみをよ。」
ジェネシスは大きく振りかぶる。あれはヤバイ!
「死にたいなら死ね。」
ラドウェルは上空高く飛んだが何故か家に打ち付けられていた。回りの建物は全て吹き飛んだ。
「ジェネシス!」
私は叫ぶ。ああなると止められない。
「約束破るの!」
私の言葉は届かない。
「ジェネシス!」
ジェネシスは立ち上がろうとしているラドウェルに剣を降り下ろす。
「ジェネシス!」
寸前で止まる。私は胸を撫で下ろす。
「何故だ。何故殺さない!」
ラドウェルは唸る。
「約束は破れないからな。」
私は二人に近寄る。
「ゴメン。」
私はラドウェルに頭をさげる。
「何故だ。」
ラドウェルは混乱しているようだ。
「何故謝る!何故殺さない!オレは敵だろ!」
私は頭を上げた。苦手だが笑って見せた。
「同じ人間だもん。」
ラドウェルは俯く。
ジェネシスはラドウェルに背中を見せて歩きはじめる。
「キララお嬢、追っ手が来る前にさっさと出るぞ。」
私は振り替える。
「立たないでよ。闘いたくないから。ラドウェルとは。次に会うときは仲間がいいな。」
顔を見ない。私も歩きはじめる。残りの二人もついてきた。
脱出成功。
今後もきらきら星と流れ星をよろしくお願いいたします。