第五章≦流れ星≧二部∞仲間の性格
不意にかけられた言葉で咄嗟に振り向き剣に手をかけた。
「怪しいもんじゃねぇよ。」
驚いたように後ろに飛び片足を上げたまま両手を横に細かく振っている。
オレは手を剣から外しマントのフードを深く被り直す。
「すまない。」
「いや、よく間違えられるんでぃ。気にするな。」
馴れ馴れしく寄ってくるその男に少しぐらい違和感を覚えるだろう。
「あのさ、大会に出ない?闘技のさ。」
唐突で何を言われたかまったくわからなかった。
「3日後に中央広場で力と力のぶつかり合いを行うのさ。どうだい?」
そんなものに出たら間違いなく神の使いに見つかる。やめておこう。
「良いんじゃないか?スター。」
ラドウェルが無駄な事を言う。
「そうだよねぇ、兄さん。ほら勢いに乗ってどうよ。」
勝手にやる方向に走っていないか?
待てよ。その闘技場に出て、強い奴を味方につければ手っ取り早いんじゃないか?
「まぁ考えてくれよ。気が向いたらそこの本部に来てくれや。」
と、真後ろの建物を指差し、あばよ、と消えていった。
「なんでオレなんだ?ラドウェルも大丈夫だろうに。」
「気分なんじゃねぇの。」
相変わらずわけわからんな。
とりあえず、自由人2人を見つけて宿につれていかなければ。
「あの2人は?」
「知らん。」
オレはため息をつく。まず商店街にでも行こう。
「行くぞ。」
「あぁ。」
2人横に並んで商店街を歩く。世間一般的に見たら変な感じだろうにな。
「いたぞ。」
意外にも早かった。まぁ目立つから当たり前かも知れないが…
いまも飛び跳ねながら商店街を巡っている。
「どうする?」
「捕まえて、拉致る。」
オレは2人目掛けて走る。姿勢をとことん下げ気付かれないように近づく。
2人を掴みそのまま裏路地に入る。
「あまり遠くに行くな。」
「食べ物が私を呼んでたの!」
「呼んでたのですよ!」
まったくメルヘンチックな話だ。
「とにかく勝手な行動は以後禁止する。いいな!」
オレは下目使いで浴びせる。
「はい、わかりました…」
しっかりとした言い方で命令を受け入れた。
「さっさと宿屋を見つけるぞ。」
と言ったものの目の前にあった。
「ここで良いか?」
「賛成!」
「異論なし。」
金が無いから1部屋を取った。
「1部屋なの?」
「文句言うな、マモリ。」
オレとマモリはラドウェルをじっと眺めた。
「なんだ?」
「変態。」
「へ〜んたい!」
ラドウェルは首を傾げた。
「大丈夫そうだな。」
「うん。私もそう思う。」
「ラドウェル、なんで2人はこそこそ話してるんですか?」
「わからん。」
鈍感な男なのでした。襲ってきたら殺すがな。
「で、結局どうするんだ?闘技は。」
オレは少し考えて答える。
「出る。仲間を集めようと思ってな。」
オレが旅をしている理由をこの場で詳しく話した。
「神の使いに復讐!」
「ラドウェル、お前には言ったぞ。」
「そうだったのか…」
意外と人の話を聞いていないんじゃないか?
「だから仲間集めてたんだね。」
マモリ、お前にも散々言ったぞ。
「で闘技大会で強そうなの拉致するんだね。」
拉致してどうする。この3人、先が思いやられる。
「まぁそういう事だ。だから明日本部に行く。」
「がんばってよ!目指せ優勝。」
話を聞いてたか?目標を忘れるなよ。
「僕も応援する!フレフレ、スター!」
もうダメだ。こいつらといると疲れる。
「で、明日どうするんだ?」
オレはラドウェルの急所を蹴り、気絶させる。
「もう寝るぞ。」
壁際のベットに横たわり壁を向いて目をつむった。
「ラドウェル!遊ぼなのです!」
「いいぞ。なにをするんだ?」
「しりとりするです!」
「わかった。オレからでいいな。しりとり。」
「リンゴ。」
「リンゴ美味しいよな。」
「へ?」
「お、画面の前の皆、次も見てくれよな。」byラドウェル
「ラドウェル?!なにがあったのですか?!」byジン