第四章∞神の使い
天上に最も近い場所。幾億の星が煌めき、幾千の流れ星は短き命を全うする。それを目の前で眺められる場所。
フィルディスタ。
又の名を、
聖域。
真っ白い階段の上に1つの椅子がある。神の使い、その中でも一番上の階級のみが座る事が許される椅子である。ここ何百年もゾフィが座っている場所でもある。
その椅子は何もない空に向かって置かれている。
「ねぇ、どうだった?」
今日もそこはゾフィが座っている。
「はい。カラカラ国への裁きは完了いたしました。」
ゾフィの後ろからゆっくりと近づく白髪の顔の鼻より上が隠れている仮面をつけた男が寄ってきた。
「しかし、バーモンドが油断をしたようでハリナ様に敗れ、天に召されました。」
ゾフィは笑う。まだ声変わりしていない子供のように高笑いをする。
「悪魔の子も強くなったな。」
「はい。」
ゾフィの後ろに立ち、空を眺める仮面の男。
「腎帝、悪魔の子は刻印の事に気づいている。」
「存在には気付いているようです。しかし、まだ使い慣れていないようです。」
ゾフィは立ち上がる。そのまま前へ歩く。足場のない場所に足を進めた。ゾフィは月に近づき両手を合わせる。
光に包まれ世界の死した自然が息を吹き替えしていく。そして両手をあげると光が弾ける。
ゾフィはゆっくりと椅子に戻って来た。
「お疲れ様です。」
「報告ありがとう。引き続き悪魔の子の見張りを頼むよ。」
「わかりました。」
仮面の男は音もなく消えて行った。
「やっと役者が揃ったよ。リナさんよ。いや、神の使いとでも言っておくべきかな。
君のお陰でてこずってしまったよ。ただの小娘2人を神の使いとして向かい入れる作戦がさ。」
なにもない世界でゾフィは笑う。嬉しいのか、楽しみなのか。ただゾフィは時を待っているだけであった。
何百年と。
第四章終了!
2人はどうなってしまうか…