第四章≦流れ星≧七部∞死にたい
惨めだ。オレは1人で生きてきた。命令を全う出来る力を付けた。命令遂行のために何人も人を殺めてきた。
こんな人形のように生きてきた。いや、生かされたのか?
ずっとこの左胸に刻まれている蒼い刻印に生かされているような気がした。
いつ出来た?マッシュに会ってから刻印が出来た気がする。
死にそうになるとマッシュが助けてくれたあの時。さっきもヤバくなった時にこの刻印が助けてくれた。マッシュと刻印の関係性は?
これ以上はわからない。
ただ、マッシュのせいで生きたいと初めて思ってしまった。人形が自分の意思で立ち上がり歩き出したように、オレは自分の意思で自分でいたいと思ってしまった。
なぜ生きたいのだろう?どうせ生きたってしょうがないのに。オレが歩く道は蕀の道しか無いことくらいわかっているのに。辛い事しか無いなら死んだ方が楽なんじゃないのか?
生きたい。辛くても生きたい。
“そうよ。生きなさい。”
誰?
“人生は辛い事ばかりじゃないわ”
誰?オレの思考の中に勝手に入って来るな!
“生きなさい。”
うるさい!邪魔だ!
背後から誰かに抱かれる。温かい手。オレと同じような背の高さ。顔が真横にあるのだが振り向けない。
温かい手は震えていた。真横の顔からすすり泣く音がする。
“生きて”
フワリと体が浮く感じだ。なんなのだ?目頭が熱い。胸が苦しい。
なんなんだ。この気持ちは。
気持ち…これが感情なのか?
人間であることはこう言う事なのか?
時が止まったように、その状態が永遠に続くかのように、オレは感じてしまった。
ここは夢の世界。現実に戻ればオレは人殺しのスター。
誰にも知られないで短い命を全うする流れ星のように、オレは鈍く輝き誰にも知られないで死んでいく。オレはそれで良かったのだ。
「なのに何故お前はオレの邪魔をする。オレは…オレは誰かのために死にたいのに!」
抱かれていた手から抜け出しそいつの顔を見て怒鳴る。
“誰かのために生きてるの?”
「当たり前だ。当たり前だ!」
“なんで強くなったの?”
「マスターを守るため。」
マスターって誰だろう。
“さっき死にたくないって言ってたわ。”
「お前が言わせたんだろ!」
“私もあなたには死んで欲しくないから。”
誰かのために死ぬ。
“誰かのために死ねるなら、誰かのために生きれる”
「あぁぁぁ!」
崩れきった積み木のようにバラバラとなる心をつなぎ止められずに、自分に罵倒し傷つけ、それでもやっぱり生きたいのだった。あの時助けてくれたあの人のために。今は何をしてるのかな?
暗い内容…スターはそう思っていたみたいですね。
今後も揺れる心を見逃さないように!
感想等がありましたらどしどしお待ちしています。