第四章≦きらきら星≧八部∞魔術書は頭が痛い
「なにこれ…」
こぼれた言葉。胸に刻まれた物を指でなぞりながら見つめる。
夢だったんだよね。じゃぁドラゴンにやられた時に?ここだけに出来るはずが…
あぁ、なんでもいいわ!そんなに気にする物じゃないさ!
私は下着を探しだし荒々しく着る。そして綺麗に洗濯されていたいつもの服とスカートを身につける。
「終わり!」
鏡を見ながら乱れた髪を整える。口に加えていたゴムで髪を1つにまとめあげる。
そして部屋から出る。
部屋を出ると大きな机と無数の椅子、本棚には本がぎっしり詰まっており観賞用の植物が四方隅っこに飾られている。
私が出たドアの他に3つドアがあった。ここはどこなんだろう?
椅子に座って本を片手にし、読みながらコーヒーが入っているカップを掴んでいるイヴがいる。
「そんな所に突っ立ってなうで、はやく朝ごはん食べちゃいなさいよ。」
私は呆気として聞いていた。
「どうしたの?」
そんな私に疑問をもったのであろう本から目を離し私を見た。
「いや、別に。」
私は机に向かって歩き、ご飯が用意されている場所に座る。
貧相な物だが普通に美味しそうだ。
「それ、あたしが作ったから。ありがたく思ってよね。」
コーヒを一口、私も卵焼きを食べようとして食べる寸前で止めた。
「毒入れてないよね!」
「ふざけないで。さすがに殺そうとはしないは。」
軽く流された。私は卵焼きを口に入れる。
……数分後
朝ごはんを食べ終わり食器を台所の流しに置いた。
そして元の場所に座る。
「なに読んでんの?」
まじまじと見ていて気になっていた。数分間会話もなく気まずい雰囲気の中スゴい分厚い本を読んでいたのだからよっぽど面白いのかと…
「魔術全書よ。」
私は口を開けたままその言葉を左の耳から右の耳に流れていった。
「あっそ。」
間抜けな声が出た。
「あんた知らないの?魔術師だったクセに?!」
「悪かったわね。」
私は腕組みをして顔をよそに向ける。
「まぁ、いいわ。読んでみる?」
その拳より厚い本が目の前に来た。私はおそるおそる開く。
ボン。
頭から変な音がした。
「ワケわからない。」
また間抜けな声であった。
「あんた、一番最初くらいちゃんと読みなさいよ。」
呆れたような頭を片手で抑えながらそう言った。
分厚い表紙をめくりその言葉を読む。
『1,魔術とは災害や魔物などの災悪が訪れたときに家族を守るために創られた。
2,魔術使用者は必ず理の流れを知らなければならない。
3,自分の糧を知らなければならない。
4,力は知恵なり。
……』
諦めた。
「なにかわかるか?」
「わからない。」
「あっそ。」
私は本をイヴに戻す。
「簡単に、魔法は自分のためでなく仲間のために使え。自分の得意な種族を知れ。自分の力量を知れ。……」
頭から蒸気が出始めた。
【氷塊】
大きな氷の塊が出てきた。
「まだあなたには早かったみたいね。頭冷やしなさい。」
「ひゃい。」
頭をそれに当てる。氷がどんどん無くなっていく。
そう言えばここどこ?
「イヴ、ここってどこなの?」
イヴがピクリと反応した。
「山頂よ。」
頭を冷やしながら状態を考える。私の目標はここ山頂で剣を…
「あ!ジェネシスは!」
思いだし立ち上がる。
「まだ待ちなさい。準備が出来て無いわよ。」
そして小声で見つからないのよねと言った。なにが?
「じゃぁ私も探しにいく。その方が早いでしょ。」
イヴは顔を横に振る。
「ここはもうアイツしか行動出来ない場所なの。簡単にドラゴンばっかなんだから。」
私はそんな所に来たのか。だから死霊山?
「だからあなたも本でも読んでなさい。簡単なのもあったはずだから。」
「わかった。」
しょうがない。どうせイヴがいるから出してもらえないだろうし。
本棚の前に行き背表紙を眺めて『子供でも読める魔術書 初級編』を手にとって読み始めた。
なんやかんやでまだ子供かな?キララは。