第三章≦流れ星≧六部∞お茶
今、オレたちは親父に連れられて森の中の一件の家の中にいる。
ゆっくりしろ、との事だが先を急ぎたいのが本心だ。
「はじめまして、マモリです。」
「ボクはジン。」
「おぅ、よろしく。」
あのデカイ図体をソファに沈めて怖がられているにも関わらず笑って握手している。親父らしい。
「それより茶だせ茶。」
「まだ湯が沸いてねぇよ。少しくらい待ちやがれ。」
親父はゲラゲラ笑う。なにがおかしいんだが。
湯が沸き茶葉を入れた。そのまま4つに分けて四角い机に並べる。
「不味いな。」
一口飲んで親父はそういう。
「不味いなら飲むな。」
オレも一口、そんなでもないじゃないか。2人も一口飲んだ。途端に顔色を悪くした。
「オレだけで飲むから飲むな!」
「いいえ、別に不味く無いですよ。ただ、」
「ただのお湯だぁ。」
「ボクは飲むよ。」
オレは机を強く叩く。
「オレが飲むっつってんだろ。」
その場が悪魔に襲われた後のように静寂にのまれた。
オレが機嫌を悪くしているうちにマモリが新しいお茶を沸かしていた。オレは飲まんぞ。
「そんな事よりぃなんでこんなところにいるんだぁ?」
オレはお茶をすする。
「ただ、南に向かってんだ。その途中。」
「南に行ってどうするんだぁ?」
考えてない。なんて言えなかった。ただ、アイツが言っていた事をやっているだけ。
「まぁいいがぁ、あそこにはもう入るなよ。次は死ぬぞ。」
「だが、」
「命令だ。入るな。」
机に乗り出したが、焦ってるだけなのか?
「南に行くなら、砂漠まで行けぇ。」
「なんでだ?」
「うちの団の生き残りがぁいる。」
誰だ?親父が生きていた時点でなにかの軸が狂っている気がする。
「うちの団もあと、オレとお前とそいつだけだぁ。」
ゆっくりとした口調になる。
「まだ団が無くなった訳じゃないだろ。また作り直しゃいいじゃないか。」
「口では簡単だが、大変なんだぞぉ。しかも、何人もの命が無くなったんだぁ。簡単に言うな。」
悲しそうな口調。親父のそんな口調をはじめて聞いた。
「まぁそんなしみたれた話しはどうでもいぃ。南に行くなら3人とも、もう少し強くならないとなぁ。」
新しいお茶が入った。
「修行するぞ。てめぇら。」
「いきなりなんで!」
立ち上がり気を取り乱したように言う。
「新しい娘と息子を殺されたくないからなぁ。まぁは平気だろぅ。」
んな無茶苦茶な。
「先を急ぎたい。」
「焦ってどうするぅ。戦いは常に冷静にだぜぇ。」
わかっている。そんなこと。
「隊長が焦ったら結果は死だぁ。お前に落ち着けっつってんだよ。」
わからず屋め。
「好きにしろ。」
ゲラゲラ笑う。早く強くなりたいんだよオレは。
たまにはほのぼのと…いかなかった。第三章流れ星編終了!感想などありましたらどしどしお願いします!