第三章≦流れ星≧四部∞自信
アイツが出てくる!
歩いた。向かっているところはオレにとって地獄と知らず。
町に着いた。
「やっと普通に寝れる。ご馳走にもありつける。」
両手を上げ、情けない声で喜ぶマモリ。しかしオレはそんな気持ちになれなかった。オレの黒いマントの中で震えているジンがいる。ここが脱走してきた町か。
町と言うより王都だった。港は活気づいており、商店の並ぶ通りには絶えず人が歩いている。
ここはディラン王国。三大王国の1つ。確かに大きい権力を持った者はフェアリーを奴隷にする。とよくきく。
とりあえず中に…、
「待ちな、キミ。」
後ろから肩を掴まれる。振り返ってそいつの顔を拝める。
振り返って気付いた。マモリは既に捕まり喉元に剣を当てられている。そして、オレの目の前にも。
「さぁ、出てきなよ。ジン。」
震えるマント。
「なんの事だ?」
「しらばっくれるな!アイツがどうなってもいいのか!」
マモリの悲鳴が響く。ち、人質とは卑怯な。
「さぁ早く出てきなよ。」
どうにかならないか。なんとかマモリを解放して、ジンも連れていく方法。
「こっちだって暇じゃ無いんだよ!さっさと出なよ。」
マントが少し開く。一か八かだ!
【落雷】
雷が近くに落ちる。辺りは一瞬閃光によって何も見えなくなった。オレは後ろにいる男を蹴り飛ばす。そしてマモリのところに行き当てられていた剣を蹴りあげそのままそいつも蹴り飛ばす。マモリをお姫様だっこして少し遠くに移動する。
「ち、お前ら!やっちまえ!」
マモリをおろしジンを預ける。
「逃げろ!」
「私も戦う!」
いつのまに頼もしくなったんだ?考えている暇は無さそうだ。見る限りジンの戦闘意欲はないようだ。
「オレのカバンに入れ。」
ジンは頭を勢いよく振りせっせと入った。オレは二本の剣を抜く。しかしマモリは弓を取らない。
「なにしてんだ!」
「無理だよ。相手は人間じゃん。」
やっぱりダメか。守る。絶対に。
こっちの状態なんてお構い無しの敵。緑の甲冑を身にまとったディラン兵。その中にヘルムを取っている金髪ロン毛の男。アイツがここの隊長?なんかムカつく。
それよりも襲いかかってくる緑。鎧は堅く剣は貫通しない。一人で複数人と戦っているからとにかく抑えるので精一杯。弱点を探している暇がない。
【地雷針】
空から雷が落ちてきた。辺りは閃光に飲まれた。地面が大きく揺れ立っていられず膝を着いた。
「待たせたなぁー!」
轟音のように響くその声。まさか…
目を遮るものがなくなり声の主を見上げた。
「親父!」
あまりにも大きい体格にごつい体。老体によって真っ白になった髪。間違いないフィーク。
「早く立てぇ〜。死にてえのか!」
オレは立ち上がる。服に着いた土をはたき、親父の目を睨む。
「んなわけねぇだろ!」
親父は笑った。剣を構える。親父は地面にめり込んでいるオレぐらいの斧を取り上げ、肩に担ぐ。
「死にてぇやつから来やがれ!」
「死にたい奴から来い!」
まだまだつづくよ!