第三章≦流れ星≧三部∞類友
空が漆黒から段々と明るくなってきた。瑠璃に近い空は美しく地平線から登る太陽。
さて、もう嫌な気配が無いからさっさと動くか。
マモリを揺さぶる。マモリはすぐに起きた。すぐに正座をした。
「おはよう。」
まだ寝ぼけているがそんな事を言っている暇はない。
「さっさと目を覚ませ。」
「まだ暗いじゃん。」
オレは睨み付けるように見る。
「旅は長いんだ。さっさと歩くぞ。」
えぇ、と一声。無視。
マモリは眠い目を右手で擦る。左手で人形の様なフェアリーが抱えられていた。マモリは両手を膝の上に置くと自分が抱いている物を見た。何も無かったようにオレを見る。また人形に目をやる。それを見つめたまま動かない。
「なにこれ?!!!」
大声を上げて立ち上がりそれをオレに投げた。
「人形!」
「ボクは人形じゃ無いです!」
コイツ、昨日より元気になってるな。オレの腕から飛び出して怒っている。
「人形が喋った!」
「だから人形じゃ無いです!」
オレは静かにバッグからパンを取り出した。騒がしく叫んでいる2人を眺めながら。まだ暗いのに、体力もつのか?
疲れたのか2人とも倒れた。その時には太陽が頭を出していた。
「お腹空いた!」
「ボクも!」
騒がしい奴等だ。パンをマモリに、あいつにはさっきとってきたブドウの実を一粒渡した。
「いただきます!」
昨日の教訓はいずこに、ペロリと飲み込んでしまう2人。昨日のようにオレを見るマモリ。
「水でも飲んでろ。」
と一言言う。マモリはチェッとわざとらしく言う。
「ボクには?」
「水でも飲んでろ。」
同じように言うと同じようにチェッとわざとらしく言う。似た者同士か。
焚き火を消した。
「フェアリー、名前は?」
本題に入らせてもらう。
「ボクはジン。」
「私マモリ。よろしく。」
2人は握手をする。話の腰をいちいち折るなよ。
「なぜ追われてた?」
ジンの顔がいきなり暗くなる。
「実は脱走してきたんです。どこからかはわからないですが。ただ、ボクを使えば、世界はオレの物になるって一番偉い人が言ってました。」
なんの事だ!?フェアリー1人を使って世界を物に出来る?コイツにそんな力が?
「それでアイツらはそいつの部下だな。」
「はい。」
あくまでも冷静に、しかし内心はぐちゃぐちゃだ。
「わかった。オレはシューティングスター。人は彗星と呼ぶ。」
立ち上がる。
「さぁ行くぞ。」
「どこに?」
2人で首を傾げて聞く。
「次の町に。」
歩き始める。2人を置いて。
「待ってよ!」
「待ってください!」
2人は走りながら追ってくる。全く、騒がしくなりそうだ。
厄介な事になったが、笑いが止まらなかった。オレは小さく笑う。
まだまだ続くよ☆