第三章≦流れ星≧二部∞守れるもの
グロテスクな表現があるので注意して下さい。
南へと歩く。慣れない長旅でかマモリはたまに岩につまずいたりしている。
オレはフードを深く被り辺りを警戒しながら歩いている。なにせ、さっきからつけている奴がいる気がして。
足早に歩くがマモリがそれに着いてこれない。だからしょうがなく足を緩める。こんなに木が生い茂っている場所で襲われたら厄介だ。なるべく広い場所に出たかった。
「お嬢ちゃんたち、待てよ。」
その声でオレは後ろを向く。賊か。少し安心する。
「なんだ?まず、その手をどかせ。」
賊の一人がマモリの肩に手を乗せている。
「冷たいな。少しぐらい遊ぼうよ。」
笑いながら答える。
「警告する。手をどかせ。」
「なんだ小娘!」
警告したのに離さないか。ならしょうがない。その手を切り落とした。一瞬の出来事で賊は何をされたかわからなかった。ついでに蹴りを一発かましてやった。
「手が!」
気づくのが遅いわ。
「さっさと出て来いよ。いるのはわかってんだよ。」
森の中に叫ぶ。すると物騒な物を持った奴らがぞろぞろと出てきた。
「よくも、」
お頭らしい奴が言う。その声は脅えているようにも聞き取れた。
オレはマモリに近付く。ガタガタ震えている。可哀想に。
「テメーら、やっちまえ!」
一斉に襲ってきた。無駄な。
【螺旋】
動きが遅く見える。飛びかかってくる奴に一撃づつ入れる。一瞬で奴らの戦意を失わせた。
「すいませんでした!」
お頭が逃げた。弱者がこんなことするな。
回りで伸びてる奴はほっといて、
「平気か?」
マモリが心配だった。
「うん、平気。」
まだ苦い記憶が残っているようだ。
「先を急ごう。」
先に進む。町が見えるわけでなく、段々と闇に染まっていく世界に取り残されていく。マモリももうダメそうだ。今日はここで野宿でもするか。
その考えを出すとオレは辺りを見回す。ちょうどいい所に焚き火をしたあとがある。
「今日はここまでにしよう。」
マモリは明らかに限界見たいに地面を眺めていた。オレは足を止め、振り向いて言う。マモリは顔を上げて精一杯の笑顔で、うんと答えた。
焚き火を点けて持っていたパンをマモリに投げる。
「食べろ。」
朝にあんなことがあり、午後は歩き詰めで昼も食べていない。食料があまりないのだ。食べれるのは朝と夜にパンを一個だけ。
オレはそれを一口小さく食べる。マモリはパンを一口に近い感じに平らげた。まだ足りなさそうだった。これだから慣れていない奴は。
もう一口。まだパンは3分の1残っている。物凄く視線を感じる。マモリは物欲しそうにパンを見つめる。
オレはボトルを投げる。
「それで腹でも膨らませろ。」
中には水が入っている。水はまだ大量にあるから平気だろう。
マモリは残念そうに水をちょびちょび飲む。オレもボトルを取り出し水を一口飲む。氷が溶けきっていてすでにぬるかったが飲めない程ではなかった。
焚き火がパチンとなる。あまりの疲労ですぐに寝てしまったマモリ。オレは焚き火にそこら辺に落ちている木の枝を放り込む。
巻き込んでしまったな。彼女には罪は無いのに背負わせてしまう。これから神の使いがどう来るかわからない。その時にコイツを守ってやれるか。正直わからない。とにかく、南へ。仲間を集めなければ。
カサカサ、
オレは剣を抜く。人間か?にしては一人の気配。動物?にしては穏やかな気配。なんなんだ?
カサカサ、ザッ!
出てきた。
「助けて、」
今にも生き絶えそうなのが出てきた。
「こっちこい。」
蝶のような羽?!が生えた両手サイズの伸長?!今はそれしかわからない。
今寝言を呟いているマモリの近くに持っていき、オレは何も無かったかのように剣をしまい元の場所に座る。
ガサガサ、
「おい!」
荒々しい声を浴びる。一人ではないな。
「ここにちっちゃいの来なかったか?」
オレは回りを見回す。そしてマモリの所までに行きしゃがみ小さいのを取る。
「これか?」
オレは小さいのを荒々しい声の男に突きだした。
チューチュー
「違う!」
うるさいな。叫ばなくても聞こえてるよ。
「じゃぁ知らん。」
二本指で尻尾を掴んでいた鼠。指を離し森に逃げていった。
「そうか、すまなかったな。」
素直に帰って行った。
「まだ、出るな。」
元の場所に座りながら言う。
「助けてくれてありがとう。」
まだ怖がっている。人間が怖いのか?あいつらに何をされていたんだ?
「今日は寝ろ。明日詳しく聞くよ。」
そして会話が終わった。
焚き火に薪を入れる。今日は持ちそうだ。月が真上高く位置していた。
オレが鼠を取りに行ったとき、あいつはオレを睨んでいた。裏切られたとでも思ったのか?
まだ狙ってる奴等がそこら辺をうろついてる。今下手に動いたら確実に見つかるだろう。
思い出した。蝶のような羽、両手に収まるサイズ、そして耳の先が尖っている種族を。
オレたち人間はフェアリーと呼んでいる。確か、大きな魔力を持っているから大量に奴隷にして、働かせる。そんな貴族達が増えてるらしいが…
北部では無いのだが、夜は冷える。少し体を動かそう。
私の旅をよろしくお願いします。byマモリ