第三章≦流れ星≧一部∞嘘
流れ星編!一発目から…
子供達が遊んでいる。新たな星が今も必死に生きている。まだまだ青く淡い光だけれどもいずれは赤くなり限界がくる。ただ、それらの星は流れ星となって欲しくないと思う。
いつになく虚しい気持ちだ。何日ここにいたかわからない。いつものようにこいつらの笑顔や泣き声。それら全て今日で終わる。
王が変わったのだ。税金が半分以下になり特別な税金も無くなった。この町の生活は普通に戻ったのだ。
それによって多少余裕が出たこの子達の親が引き取りたいと言った。全員だ。マモリは、はいと一言呟いた。親達は大変喜んでいた。泣き叫ぶ人もいた。
しかし、その日に帰す訳にはいかなかった。子供達にお別れを言いたいとマモリが言ったのだ。3日待っていただけますか、と。親達は承知した。各々はバラバラに帰って行った。
親達は自分の希望を戻せて嬉しいのだろう。
しかしその日の夜。マモリは布団の中で一人泣いていた。わからなくもない。ただオレより長い付き合いなだけだ。
そして時は過ぎ今日でお別れだ。
「みんな来て!」
食堂で叫ぶマモリ。まだ食事の時間でもないのに呼ばれ不思議に思う子供達。
それでも全員が食堂に向かう。全員が食堂に入ったことを確認しオレも食堂に入った。この時に全員の顔を覚えたのか、オレは。思わず笑が出る。余計に別れが疎ましく思う。
全員が食堂に集まった。
「みんな、今日は大切なお話があります。」
辺りに緊張感が感じられる。子供でも嫌な予感は感じられるのだな。
「今日でここの家は壊れます。」
えぇと言う声が共鳴して響く。
「また新しくなるから平気よ。」
笑顔で答えるマモリに真の光が見えなかった。
「で、ちょっとお別れ。みんなはみんなのお父さんお母さんの所に戻って新しくなるのを待ってて。」
はーいと共鳴する。
「マモ姉、またあえる?」
一人の子供、キゼン君がそう聞いた。
「会えるわよ。」
まだ我慢するのか。
全員は泣かなかった。また会えると信じて。それが偽りであったとしてもまた全員に会いたいと願う輝かしい光。
オレは例え方を間違えていたようだ。きらきら光星ほど輝しくない。頑丈じゃない。嵐が来たら脆く壊れ、誰かの光を自分の力に変える。まるで一輪咲く花の様な。色や花びらの数や大きさは違うが、どれも美しい物。自分も。
じゃぁ光はなんだ?マモリみたいな子の事なのか?わからない。
オレの答えが出る前に親達が来た。子供達の顔を覚えていた親は一斉に抱き抱えていた。子供達も笑顔だ。家族。家族…。
オレとマモリだけがここに残る。建物を眺めて。外に2人だけ横に並んで眺める。
「もう我慢しなくていいぞ。」
オレは建物を眺めながら言う。マモリはオレの方を振り向いてへ?と聞き返した。
「もう我慢しなくていいぞ。」
言い直す。
「我慢なんてしてないよ。」
声が段々嗚咽混じりになっていく。
「私が泣いたら笑顔で行ったあのこたちに…」
涙を流さないよう懸命に空を見上げる。それでも流れそうになるのを拭って持たせる。
「あのこ…ちにう……そついた…こと……にな…る…」
耐えられなかった。オレに抱きつき泣きじゃくる。
「嘘ついちゃった。嘘ついちゃった。」
オレの肩で叫ぶその言葉が一番の心残りのようだ。
マモリも星ではなく、花のようだ。脆く儚いもの。泣き止むまで待とう。この時に泣けないオレ。オレもこの気持ちの空虚をなんとかしたい。しかし泣ける訳でもなく、気持ちが高ぶる訳もなく、ただただ冷静に感情を隠しているようだった。
「ありがとう。」
まだ少し嗚咽があるが、少し落ち着いたみたいだ。
「じゃぁ始めるぞ。」
「うん。」
オレは呪文を唱える。オレの回りに魔方陣が出来、光が空に上がる。
【月光の雨】
空から光を振り落とし、建物を破壊した。色々な記憶がある建物。自分の気持ちの踏ん切り。
「ありがとう。」
もう、迷いはないようだ。
「これからこの土地売らなきゃ。」
マモリに連れられて城に行き、学校を造るという約束であの土地を売った。
「良いのか?」
オレはマモリとこの町の門の前にいる。
「うん。ここにいると逆に辛いから。」
「会えなくなるぞ。」
「スターと一緒なら死なないよ。」
ずいぶんな物だ。
「行こう。」
「マモ姉!」
子供たち全員が来た。
「またね!」
何を言ってるかわからなかった。今度はマモリは泣かなかった。両手を大きく振って。
「お父さんお母さんの言うことは聞くのよ!」
そう言って門を出た。
大きな門が閉まる。それでもまだ子供たちの声が聞こえる。
「嘘ばれちゃった。」
「泣かないのか?」
「もう平気よ。」
「よし、行くぞ。」
歩き始める。南、南へと。
このあと、襲ってくる悪魔に近づくように。
まだまだ流れ星続くよ!