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それは空気を切り裂く轟音から始まった。
手はずでは開幕に一発集団で使う儀式魔法で周囲を焼き尽くすという事になっている。
その手はず通り、街を覆う外壁を伝う形で反対側の此方にまで火が回ってくる。
流石に防御はしっかりしているようで中には火が回っていないが、周囲を焼き尽くす事には成功しているようだ。
反対側の此方では門の周辺が炎に包まれた程度でそこから逸れている俺には多少の熱気が伝わる程度だが。
壁と門の周辺の焼却に成功している。
少しは防いだり排除したりしないといけないかと思っていたので期待以上の成果だ。
門は閉ざされたままなので素早く壁に近付いて、鍵縄を投げて壁を登る。
流石に門を破壊したり開けたりしていればこちらからの侵入を気付かれるだろう。
陽動として暴れるならともかく、今回の作戦ではそれはしてはいけない。
故に多少回りくどいが気付かれないように壁を登る。
壁の上に登りきり、街を見渡す。
そこは異様な場所に変貌していた。
日が出ている時間に周りを炎に包まれているというのに中は夕方と見間違うばかりの薄暗さを保っているのだ。
常夜の結界。
見るのは2度目のこれは高位アンデッドが自分の拠点を築いた時に施すものだ。
その効果はある程度の防御結界としてのものと、遮光である。
これはアンデッドという特性から日の光は彼らにとって天敵といっていいものだからだ。
それを受ければ低位のものは行動が出来なくなったり、滅んだりする程に。
当然高位アンデッドも弱体化するのが常となっている。
今はそれを防ぐ術式もあるらしいが、一時的な物のようで、この結界を張ってない高位アンデッドの拠点というのは今のところ報告されていない。
一部デイウォーカーと言われる奴がいるとは聞いたことがあるのだが、それを明確にする証拠は今のところ見つかっていない。
その為、これは予想されたもの、想定内のものだったのだが、そうでないものもある。
徘徊している者がいないのだ。
通常、不死者の集団は末端は放置している。
それは管理する必要もないし、余計な手間をかけるのが面倒だと言うのが理由なのだが。
それが居ない。
どうにも嫌な予感がする。
嫌な予感がするのだが動かないわけにもいかない。
そうして動き出そうとしたところでまた一つ轟音が響く。
予想外に早い。
恐らく本隊が南門を破壊したのだろう。
この後は直線上に儀式魔法を放って道を作り、突撃を行う手はずだ。
急がなければならない。
壁を飛び降り疾走する。
勿論南門と中央に聳え立つおぞましい程の瘴気を放つ建物、役所との線上を外してだ。
建物の上を飛び移るようにして移動するがやはりおかしい。
壁の上からじゃ見えなかったような路地裏にもどこにも不死者の姿は見えない。
警戒しながら走り続け役所まで五百メートル程の場所まで到達する。
ここまできてもやはり襲われる事は愚か不死者の姿の一つもない。
疑念は確信に変る、その時に南門に巨大な魔力反応を感じる。
南門から役所に繋がる範囲を焼き払う為の儀式魔法だ。
これも予定通りの行動、しかし勘が告げる。これは拙い。
しかしそれを止める術等あるはずもなく、その魔法は放たれる。
半径五メートル程の巨大な魔法陣が南門に浮かび、その中央から顔を出す巨大な朱の鏃。
それはやじりのから順に姿を現し、羽根まで姿を現したところでそれは唐突に加速する。
空気を切り裂き、猛炎を振りまき迫る矢は遮るものを全て灰にして猛然と進む。
そしてそれは役所まで到達した。
到達した瞬間にはじける。
その内包されたエネルギーを周囲に撒き散らし辺りを焦土と化すそれはさしずめ地獄の業火と言ってもいいのだろう。
しかし届かない。
館の門はびくともせず、敷地の周りに張り巡らされた結界は炎の侵入を全て防いでいるのだ。
そして30秒もせずに炎は地面に飲み込まれるように鎮火する。
それを見つめる軍の集団を飛び出す4つの陰があった。
疾風の英雄の4人だ。
慌てて進軍を開始する後続の軍人たち。
その目は焦りの為か前しか見えていないのだろう。
猛然と彼らは走る。
その道のりの半分をすぎ、先頭の4人がすぐに門に辿り着こうという時にそれは現れる。
館と南門の中間辺りにある焼け残った建物の上。
感知できなければ気付く事が出来るはずもないそれが現れる。
何か口を動かし、手を上にかざす。
拙いと勘が警鐘を鳴らす
それを感じた時には駆け出していた。
偽装を放棄し全力で疾走する。
現れた何かの口元が吊りあがり歪んだ空間から黒い何か顔を出す。
そしてそこから現れる熱の塊。
それは彼らが放った最初の一撃の成れの果て。
闇に食われ、闇と化し、魂まで黒く焼き尽くす呪いの炎。
そのおぞましい瘴気に一人が気がつきそれは伝播して兵士達の足を止める。
しかしそれではもう遅い。
気がついたところで弓を撃っても到達する前に燃え尽き、迫ろうにも軍の動きは急に止まらず抜け出すのは困難。
そんな中でそれは口に弧を描き腕を振り上げる。
それは発動の予備動作。
それが振り下ろされると同時に彼らは死しても訪れぬ呪いの炎で全てを焼き尽くされても止まない苦しみの煉獄に叩き落される。
歓喜の声で其の名を告げるそれは気付かなかった。
自分の身に訪れる危険を。
届く者などいないと高をくくり、目の前の虐殺の悦楽に酔いしれていたそれは気付けない。
気付かずに振り下ろしたその手は既に無く、予備動作で動いた視界はそのまま止まる事なく後ろに回り続ける。
そして制御を外れたその炎は……
「ほら、返すぞ」
聖龍の力の篭った盾によって自らの身に打ち込まれる。
「な!?な!?ぎゃあああああああああああああ!!!」
それは転がり落ちるその身体に直撃し、大きく燃え広がる。
直撃したそれは胴体を貫き、その身を内から、外から、全てを焼き尽くし灰と化し、その後ろにある建物を巻き込み燃え広がる。
それを確認したところで踵を返し館に向かう。
あいつらは、既に中に入ったか。
破壊されている門扉を見てそれを確認したところで先を急ぐ。
当初の予定とは違うが、やることはやらなければならないな。
そうして俺は館に足を踏み入れた。
この騒動の発端となった者の居る館へ。
」
アイ「なんか戦闘は戦闘だけどやけにアッサリ終わったな」
リリ「それは仕方ないわ、キング以外じゃあの子と戦ったら一瞬で終わっちゃうから」
アラ「それ、ロイドどんだけ化け物になってるんだって話だよな」
アイ「今更じゃないか?」
リリ「今更ね」
アラ「まぁヴァルザードとの戦いとかレイラとの模擬戦とかみてたら今更か」
リリ「それで、次はどうなるの?」
アイ「それはだな」
アラ「それは……?」
アイ「決まってない!」
リリ&アラ「「……」」
アイ「どうも作者がアホで戦闘のプロットを組んでないみたいでな、未定だそうだ」
リリ「頭が……」
アラ「いたいなぁ……」
アイ「仕方ないだろう、あの作者だ、諦めろ」
リリ「仕方ないわね」
アラ「ああ、仕方ない……」
アイ「なんとかまとめてくれることだけを祈っておくしかないな……




